Fashion Show

mame

mame 2013S/Sのテーマは“あなたの思い出”
今シーズンもデザイナー黒河内真衣子氏の豊かなイマジネーションを服に吹き込んだ。

−Polly 78歳 「あなたがここを出て行きたい事はわかっているのよ。でも。」
でも、あなたは彼女を遠くの都会の町へ送り出してあげるのよね。だからその日の為に貴方の大事な孫にドレスを作っておくね。

−Beatrice 14歳 「この帰り道は今日で最後だけど、これからもずっと一緒だよ」
そう、あなたが十年後に彼女達に会う時の為に、大人になった貴方へとっておきのドレスをデザインするわ。

発端は今コレクションを作る為に地方の工場周りをしていた時、石川県の小さな家具屋で見つけた1900年代初頭の写真。家族写真、恋人との写真、友人との写真、ポートレート、風景写真。写真に写る人々から醸し出される本質的な表情。インスピレーション源はこれら50枚の写真。
黒河内氏は1枚1枚の写真に写る人へ名前と年齢を定め、そして写真から感じ取った想像のストーリーを描き、彼女等の為に服を作った。その衣服達が今季のコレクションだ。

主体となったカラーは静かで落ち着いたブルー、鈍重なブラック、聡明で暖かなホワイト。これらのカラー選択には「モノクロ写真の黒と白、誰かの思い出を象徴するカラーは青だと感じる。」と言う黒河内氏。
胸下で切り替わるブラック×ホワイトのツートンドレスはPollyの孫へ。
胸元に雲の様にフワフワと流れる優美な模様はシルクの無撚糸で描かれたパイル刺繍という、繊細で丹念な作り。
Beatriceへ10年後に捧げるドレスはモノトーンのクラシカルなドレス。
プリーツスカート部は板染めの技法が使われ、鈍く濃いブラックがじわりと縁を染色し、自然なラインのデフォルメが風雅な趣に仕上げた。
他にも首元から裾にかけてチェック柄〜トライバル柄と広がるワンピース、女性のフォルムをソフトに囲むデニム地の丈長のスカートやワンピース、小物には鈴蘭のピアスなど、1900年代初頭のエレガントでクラシカルな美風を残しつつ、現代の技法、デザイン、独特の解釈が含まれたストーリー性のある衣服が並んだ。

Text:Kumiko Kobayashi


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