「黒夜に見た一縷の希望」。暗闇から徐々に浮かび上げる光の道しるべ。
今回のためにthe telephonesのボーカルを務める石毛輝氏が書き下ろしたというメロディーが響き渡る中、サテン地を重ねた白のジャケットやサテンハーフパンツなど光を吸収し反射するようにクリアなデザインのアイテムが登場。ブルーグリーンの幾何学的なパターンのセットアップや、背面に回り込んだビックポケットがポイントのテーラードジャケットはフィット感のある洗練された印象。
フーディーに膝上丈のハーフパンツ、キャップといったスポーティなスタイルだけでなく、マットな透け感が柔らかな動きを描き出すブラックのシースルートップスなど紳士的な要素を素材やディテールに取り込んでいる。
また、大胆にカットされたV字ネックや小振りのスクエアネックの半袖ジャケットは立体的な全体のシルエットが、首もとのユニークな図形をさらに浮き彫りにする。
現代の様々な人が抱える先の見えないネガティブな時代を背景に、その中でSiseが見た希望を落とし込んだ今シーズン。ショックを受け、何もしたくない状況から希望を見つめ先へ進んでいく。「コレクションの組み立て始めよりも明るい内容になった」とデザイナーの松井氏。人の感情の移ろいが見え隠れするようだ。
ジャカード織りによるグラデーションが生み出したレッド、ブルー、イエローが交差するチェック柄。裾がアシンメトリーのコートやロングパンツ等の白地に溶け込むようにフェードアウトしていくチェックが、希望を見出した経緯のようにも見える。
Photo:Tomohiro Horiuchi Text:Tomoka Shimogata