9月24日、恵比寿ガーデンホールにてFACTOTUMが2013S/Sコレクションを発表した。
テーマは「Working and Thinking」。
アメリカの哲学者、エリック・ホッファー(Eric Hoffer)が沖仲仕としても生業していた頃に綴った日記“波止場日記”が今コレクションのインスピレーション源だ。
労働のかたわらに図書館に通い続けたエリック・ホッファー。
彼の日常を表現した演出、コレクションは、港の夕焼けを彷彿とさせる道板のステージ上を、ショーの前半はThinking;図書館をイメージにエレガントなスタイルで、後半はWorking;波止場をイメージしたモダンワークスタイルでモデル達が行き交う。
前半は、セットアップや、JK、トレンチコートのアウター×クロップドパンツ、チノパンツのボトムに、ドレスシューズとソックスを合わせたシックなスタイルが特徴的。登場はじめの3ルック、ネイビーのアウターとパンツには、E・ホッファーが使用していたハンチング、メガネ、波止場道具のモチーフがカラフルに刺繍されている。
対して後半は、ウィンドブレーカー、ダウンベストの防寒着×つなぎ、デニム、ルーズなパンツに、首元にはスカーフとカーディガンを、足下はドレスシューズを合わせたモダンなワークスタイルを提案した。
印象的なのはニット類。カレンダーをデザインソースに、数字と縞模様が織り成すグラフィックテキスタイルが施された。
用いられたカラーも寒色系のネイビー×サックス×ホワイト、暖色系のレッド×オレンジ×ベージュと対照的。
フィナーレは星条旗、“Working and Thinking”のロゴプリントTシャツを着たモデル達が幕を飾った。
“読書と美味しいパンと散歩が出来れば良い。”
E・ホッファー著述の本に書かれていたこの言葉を目にしたデザイナーの有働氏は、「いつも以上に丁寧に、そして必要な物、省く物を考え、作り上げた。」と言う。2013年春夏のFACTOTUM は、E・ホッファーの哲学が、デザインやカラーだけでなく内なる部分にも影響し、反映されたコレクションとなった。
Photo:Tomohiro Horiuchi Text:Kumiko Kobayashi