テーマは「NEW TRIBAL GRAPHISM」。風をきって、地球の大空を自由に翔け巡り、深く碧い海原を横切り、大地に生い茂る緑の重なりを抜けて、再び都会へ。世界中を巡り巡って繰り広げられる、壮大なファンタジー。
前半は春らしいパステルカラーがメインの色使い。繊細な線画タッチの花や、3Dプリントの浮き上がる花、レースの花など、多彩な花柄が印象的だ。エスニック感漂うアクセサリーが立体感を演出し、斜めのカッティングがモダンな印象を与える。同柄プリントのサテンと楊柳の重なりや、マットとシャイニーのブロッキング、様々なレースの表現など、異なる表情が溶け合う姿は異なる価値観が交ざり合う都会の様子を表現しているかのよう。
後半は、赤道を越えた熱い砂漠の大地をイメージしたかのような、重く濃いビビットな色使いに。エスニック柄の上には、日本の伝統的な毛毬が転がっている。大地の色であるテラコッタ、無限に碧い空色、プリミティブなプリント柄。世界の民族の面白いディテールをミックスし、大自然のパワーをファッションへと昇華させた。
「自分が表現したいことを妥協せずに表現し尽くし、大胆に新しいものを排出し続けること。新しいものを吸収するためにも発散し尽くさないと、次なるものが生まれない。」
ショーが終わり、デザイナーがコシノ一族に受け継がれる精神について語った。
Photo:Yoshiaki Miyahara Text:Kohei Tsurumoto