テーマは「黒光」。日本の海を背景に「動」の中にある「静」に刹那的に見える人間の確固たる意思、存在意義を表現。ダッフルショートコートや縮絨をかけたウールジャケット、ブラックレザーを部分使いすることでよりハードな男らしさを感じる。襟腰が高いジャガード×ウールのジャケットや継続的に展開されているワイドシルエットパンツ。渋みのある色合いとなめしたような表情が静けさの中に、じんわりとした熱感がつたう。
今季初となるデニム。青々としたインディゴブルーではなく、ブラックデニムを使用しカジュアルになりすぎず、上品で繊細な風合いに仕立てた。
身頃のある部分から袋状になったグレーニットは、わざと着込んだような縒れた表情をつけている。柿色、シルクサテン、デニムのボックスブラウスはシンプルながら質感にこだわったアイテム。
サテンシャツのブラックとチャコールのごく僅かな色味のグラデーションが、素材と色が持つそれぞれの個性を引き立てる。また、水色と群青色のシャツは自然強弱によって清涼感漂う濃淡を演出。
その他、現代アーティストの松下徹氏による”鍵”のモチーフを散りばめたカットソーや変形トップスなど、インパクトよりも奥深くに眠る根源を呼び覚ますような表現が展開された。