Fashion Show

SOMARTA

幻想的な靄の中を鐘が鳴り響く。レオナルド・ダヴィンチの作品から着想を得た今回、宗教画独特な色彩が反映され、有機的なルックが数多く登場した。ゴールドブラウンのギャザードレスやスカート、洞窟の輝く宝石のような姿を想起させるビジューがシルクドレスの肩や手首で、自然の光にしか生み出せないような特別な輝きを放っている。
貝や珊瑚礁からインスパイアされたキュプラジャガードシリーズ。コーラルやビンクベージュなど、暖かみのあるしなやかさを演出。ダヴィンチの女性像と重なる色や形を追求するにつれて母親の慈愛に美しさを見出し、人体美に対して貝などの物体の形状を具象化していく。

テーマとなったGeode(結晶の洞窟)は、一般に母親の体内に見立てられる。デザイナー、廣川氏が描く、強く優しい女性。一筆の道筋により構成されたテープ刺繍は、シャーリングをかけ、時間の経過で出来上がる”層”を表現している。ドレスの裾やボレロ、「誕生」をイメージしたフレアスカートは薔薇のようにコクのある赤が印象深い。
また、今まで使用してこなかったダウンが登場。ベージュのファー付きのワンピースダウンやケープダウン、レッグウォーマーを展開。

全体に手刺繍を施したシルクオーガンジーは、羽根やステンドグラスをイメージ。赤に加え、一筋の光を一身に浴びる氷のように白いロングドレス。大切なものを包み込むかのように、空気を丸め、裾をなびかせていた。
身体の全身を流れるような層を織り成し、圧倒的な存在感を放つ手刺繍が、母親そのものの偉大さを物語っていた。

Photo:Tomohiro Horiuchi Text:Tomoka Shimogata

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