Fashion Show

YUMA KOSHINO

日本がマルコ・ポーロの本『東方見聞録』によって「黄金の国ジパング」と紹介されたのは13世紀後半。それから約8世紀の間ヨーロッパにはいくどとなくジパングの波が訪れている。なぜ東の果てにある小さな島国にヨーロッパの国々は心を奪われるのだろう。
今期のYUMA KOSHINOのテーマは”Klimt Gold”。このKlimtは19世紀後半から20世紀の始めに活躍したウィーン画家クリムトの事を指す。彼の代表作には、金箔を使用して作られたものがいくつもある。“Klimt Gold”は YUMAKOSHINO氏が思う、海外から見た日本の印象。金箔は中尊寺金色堂を始めとし、古くから日本の文化にも登場する。マルコ・ポーロが心奪われ紹介した「黄金の国」。そんなオリエンタルで絢欄なランウェイでYUMA KOSHINOはヨーロッパの国々が憧れをいだく日本の世界をデザインに落とし込んだコレクションになった。

ショーはモノトーンから始まり、オリエンタルエネルギー、クリミナルゴールド、ジュエルニットで完結する。それぞれのパートでアートや日本伝統の職人の技をミニマムにデザインに落としこまれたアイテムが登場。
ショーでも随所にテーマであるゴールドが散りばめられる。もうひとつの特徴の極彩色は、YUMA KOSHINO氏は中間色を好んでいたが、去年の震災後太陽やエネルギーを連想させるオレンジや赤などの色を多く使うようになった所から派生したもの。色は彼女が好む中間色だが日本伝統の技術であるぼかしによりインパクトが増している。

白と黒の2色のモノトーンパート。幾何学柄ニットやCGグラフィカルなプリントに変換され、ベーシックなアイテムに。浮び出て見える3Dの花柄プリントは軽やかに揺れるワンピースに。自然界にある色をつかった鮮やかでエネルギッシュなオリエンタルエネルギーパートのアイテム達。シルクの上に絵の具を垂らしたような日本伝統のにじみ技法を使い、色味に暖かみを与えながらもインパクトを残している。ラメやスパンコールが鮮やかな色に反射しまるで踊り子のように煌めく。
世界が憧れる豪華絢爛な金箔の世界をイメージしたクリミナルゴールドパート。日本の代表的な芸術作品である水墨画からインスピレーションを受け、水墨画の繊細な階調を中間色で色をつけ現代によみがえらせる。西洋の平面と東洋の立体を融合させたフォルムがランウェイを闊歩する。
日本の歴史が詰まった職人達の技。その技術を伝えるハンドメイドのローゲージニットや、レーシーなニットが登場するジュエルニットパート。また新しい可能性ともいえるコーディネートの提案。YUMA KOSHINO氏は「新しい着方を伝えるのもデザイナーの仕事」とし、今回は斬新なレースニットの着回しを提案している。

Photo & Text:Yoshiaki Miyahara

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