「LOST」をテーマに掲げ、森や花はこれからどうなっていくか。自然という前提があってこその人々の生活。そんな自然についてデザイナー森川マサノリ氏の思案する内容を、森をインスピレーション源に表現する。
前回のコレクションではレディースのみで、またアイテムのほとんどはショーピースだったが、今回はメンズを中心に制作し、ショーピースも2〜3割に減らしている。
その変化の要因はテキスタイル。テキスタイルが出来上がる過程で、メンズのイメージが確立したと森川氏は語る。
レザー×スタッズ、クラッシュ加工、ローゲージのニット、そして特に拘りをみせた、こけのイメージでもあるデジタルジャカードの鮮明なグリーンなテキスタイル。
また大木が根付いている様子をシルエットやパターンに反映。どこかルーズであったり、構築的であったり、隆々とする様をパターンでも表している。
ショーの音楽には心拍音を使用。自然の息吹が、服にプラスのレイヤーを重ねる。ショーのラストには映像が上映。鳥かごに徐々に近づいていくカメラアングルで、最後には鳥かごは燃え、中から天使が飛び出す。「どのようにも解釈可能なものとして制作した」と森川氏が語るように、人それぞれの感受性の差異こそを楽しむべきファションのあり方を今コレクションで問う。