Fashion Show

ohta

二年という尺をとり、“いろは歌”全四節の一節ずつをシーズンテーマに掲げてコレクションを展開するohta。シリーズ最終章は「あさきゆめみし ゑひもせす」 。ネイビーを中心に、エメラルドグリーンやブルーがアクセントとなった。前面にヌメ革、背中から右手にかけてネイビー、左手はエメラルドグリーンのウールで構成したジャケットやファー付きコートと、ほのかな優しい色彩が上品なバランスを生み出している。

「あさきゆめみし」とネーミングされたアイテムは、鉄錆のブルーをスキャンしたものを原型として本などから切り取った風景写真が転写されている。光沢のあるストライプシャツのポケットにさりげなく取り入れたり、ポリエステルとキュプラのワンピース。
青い世界の微妙な差をコラージュのように表現し、氷のような冷たさと自然の風景の温もりを合わせ持つ。「あさきゆめみし ゑひもせす(よひもせず)」の言葉には、「酒を飲んで酔ってもいないが、この果敢ない世の中を乗り越えていこう」という思いが込められている。

肩アンゴラウールのTシャツにも用いられるアンゴラウール。イタリアで作られ、ベージュやネイビーが織り交ぜられた季節の変化を予感させるよう。ohtaが今後も挑戦していきたいような生地に仕上がっている。その他メンズ、レディースともに展開しているシンプルなジャケットとパンツなどの、しっとりとした素材感が女性らしさを滲ませる。

「言葉が隣にあったら”何だろう”と気になることが大事」と服につけられた”あさきゆめみし”や”ちるぬるを”の言葉とプリント柄は直接連結したものではないというデザイナー、太田氏。言葉の曖昧さを折り込みながら、清らかで心地よい色味と素材が提案された。

Text:Tomoka Shimogata

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