二度目となるランウェイショーを行ったNocturne #22 In C Sharp Minor, Op. Posth.。 若手デザイナーHiroyuki Watanabeとのジョイントショーとなった今回。 クラブのようなundergroundから這い上がる新人を応援したい気持ちに加えて、地下から這い上がるハングリー精神を、作り手として忘れてはいけないという気持ちを込めて、ミラーボールが輝くクラブを会場に起用。
テーマは「ZIP」。タータンチェックのアシンメトリックスカート、格子柄ブルゾンの袖口、ブラックスキニーのサイド等服の中心から細部までZIPを多用。「過去ー古着」、「未来ーこれから作る服」を示しており、それらを繋ぐ役目として「ZIPー現代」を表現している。
前身頃にスカートのパターンを当て、サイドをジップで繋ぎ合わせたパンツやトレンチコートにミリタリーシャツをドッキングさせたようなデザインなど、ジップがアクセントにもなり、パンキッシュなムードを浮き立たせる。赤や黒を基調とし、ピンクの蛍光塗料が飛び散ったブーツを履き、力強いまなざしで先を見つめるモデル。「洋服はシンプルなものが好きなので、言葉をアクセサリー感覚で装飾したらどうか」とルックと共にスクリーンに映し出された言葉の数々。 デザイナー鈴木氏が感覚的に選り好んだ言葉が並ぶ実験的な演出である。
ウールやコットン、ナイロンと主に軍服等に使用する昔から存在する、普遍的な素材を駆使し、分かりやすいものをあえて使う。「ストレートなものは伝える時に心に響く。」直球で投げ込まれる彼女の「伝える」ことへの強い思いが、生モノであるランウェイを通し滲み出るショーとなった。