香港出身、現在はアイルランドに拠点を置くJohn RochaのA/W2012コレクションのインスピレーション源は、香港のホースレース、Happy Valley Race Track。今回もブランドの代表的カラーであるブラックを多く使用し、ルック全体はHappy Valleyのナイトレースのよう。一方アイルランド出身で異なった色のストライプの組み合わせが特徴的な画家、Sean Scullyからも影響を受け、冬のランドスケープのようなオリーブグリーン、ゴールドイエローやネイビーと彼の画を思わせる控えめでシックなカラーパターンも新たに取り入れられた。
多く見られたテイストはスポーツエレガント。黒を基調に薄手のシルク、フラワーモチーフのレース, カシミヤ、フェザー、シープスキンなど異なる素材や色をパッチワークでミックスさせ、スカートや床まで広がったドレスに使用。トラウザーなども登場し、全体的にミニマルなシルエット。反対にトップスは立体的でボリュームのあるバルーンシェイプが多く見られた。彼のデザインのインスピレーション元の一つは安藤忠雄の建築デザインだといい、彼の建築を思わせる抽象的なシルエットに創り上げたトップスにはタフタやサテンなど光沢のある素材を使用。フェザーも多く取り入れられ、シャープなラインのボトムスとのバランスを取った。
アップスタイルが多くみられる今季のコレクションの中、無造作でエアリーなセンターパートのロングヘアも印象的。クールな印象が残る今回のコレクションに柔らかい印象を残し、彼がブランドのイメージとしている「Wild and Beauty」、気の強さと優しさを併せ持つ女性像を表現した。