他者とのコミュニケーションが苦手で生涯孤独者であったヘンリー・ダーガーが、まともな教育もうけることなく19歳から60年の歳月をかけて執筆した300枚にも及ぶ挿絵と15000ページ以上の文章で構成されるアウトサイダー・アート長編小説、「非現実の王国で」。メルヘンチックなファンタジーでありながら純粋が故にグロテスクでもある妄想世界、その主人公である7人の幼女戦士「ヴィヴィアンガールズ」がBora Aksuのコレクションのヒロイン。
ブラック、グレー、ペールトーンのピンクで構成されたコレクションは、ジオメトリックなテクスチャーのクローシェ編みニットドレスやソフトでエアリーなシルクトップス、随所に施されたフローラルプリントなど少女のイノセンスやナイーブさを表現する一方で、シャープなテーラードジャケットやヘビーコットンのケープ、またショルダーを中心とした構築的なディティールからは戦う者としての力強さも感じさせ、ガーリー、フェミニンでありながらも凛とした佇まいを見せる。
ダークロマンティックなコレクションの後半には鮮やかなオレンジやピンクをフィーチャーしたドレスが登場し、数多の戦いを経た純粋で勇敢な少女達の自信、成長した姿を感じさせた。