Alistair Carrの辞任後、インハウスのデザインチームが手がける初のコレクションとなったSS13のPringle of Scotland。今シーズンは200年のブランドヘリテージの中から、特に1950年代のエレガントなニットウェアスタイルにフォーカス。ウエストをマークしたシックなシルエットをベースに、現代的なスタイリングを合わせてプレイフルで自信に溢れた女性らしさを表現した。
まず印象的なのはパステルからヴィヴィッドに移っていくカラーパレット。ミント、レモン、ピンクといった伝統的なスコティッシュカシミアカラーの優しいトーンは、ルックが進むにつれ次第にヴィヴィッドなグリーンやラズベリー、コバルトへとシフトする。
テクスチャーを彩るのはジオメトリックなパターンのビーディング。アーカイブの繊細な装飾が、ビニール素材で生まれ変わった。更にAlistair時代から引き続き、カラーコントラストやグラデーションなどでシグネチャーのアーガイル柄も再構築された。
Tシャツやドレスはシルクと伸縮性ポリウレタンを組み合わせ、リラックスしたシルエットでスウェットのような快適性を実現。またサイドにジップが取り付けられるなど、随所に機能面への考慮が見受けられる。
今回のコレクションはラインウェイショーではなく、ホテルの一室でのプレゼンテーションで開催。50年代のサロンショーの様子が映し出される中、伝統のスコティッシュニットウェアブランドとしてのルーツに回帰し、育まれてきた技術を生かしながら、シックで女性らしく、実用的なワードローブを揃えた。
Photo:Yuta Fukuda Text:Yasuyuki Asano