Fashion Show

Fyodor Golan

アントワープ王立アカデミー出身のFyodor Podgornyとロンドンのマランゴー二出身のGolan Frydmanによるファッションレーベル、Fyodor Golan。マックイーンやラフシモンズで経験を積んだ彼らは、ロンドンで出会い2010年にレーベルを設立した。

デザイン・エソスを『ジキル博士とハイド氏』のようだと表現する彼らは、同じ価値観をシェアするというよりは互いの異なる感性を追求し、レーベルに還元する。趣向を凝らしたテクスチャーやディティールをピュアなシェイプで表現するスタイルと、その背後に潜むコンセプチュアルなアプローチにより、昨年若手デザイナーのコンテストFashion Fringeを受賞した。

ヴィクトリア時代の少女の数奇な人生を記した本、『Blue Tattoo』から着想を得て始まった今回のコレクション。北アメリカへの家族旅行の際にネイティブアメリカンに捕われ、他の家族は殺害される中、民族の伝統や習慣に溶け込まされ、顔にタトゥーも彫られた少女が、その後白人社会に売られ、その経験と風貌からセレブリティになるというキャラクターの変遷を描いた。

更にコレクションのタイトル、『The Holy Mountain』はアレハンドロ・ホドロフスキー監督による70年代の映画から引用。そのグロテスクな描写を多用したカルト・フィルムから得たスピリチュアルなサイケデリアが、コレクションのもうひとつのインスピレーションになっている。

その結果生まれたのが、女性らしさと強さが同居する、凛とした民族戦士のようなエレガンス。メインとなっているのはブルーの構築的なシェイプと、琥珀色のオーガンザやシフォンといった軽やかなフォルムのコントラスト。更にトライバル、ヴィクトリアン、ポーセリン(磁器)、ラティスといったモチーフが、プリントに手織りのテキスタイル、スワロフスキーのデコレーションなどを用いて溶け込まされた。また大胆なデザインのオケージョン用ドレスを中心にしながらも、軽量でウェアラブルに仕上げるなど現代の女性への配慮も施されている。

Photo:Hiroyuki Ishimizu Text:Yasuyuki Asano


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