セントマーチンズを卒業後、2004年にデビューしたカナダ出身のデザイナー、Jean-Pierre Braganza。構築的でガラスの破片のようにシャープなカッティングを特徴にしたコレクションは人気が高く、世界中のショップで取り扱われている。
インスピレーションとなったのは、ウクライナのエスノ・モダン・アーティスト、Zinaida Lihacheva。様々なアートフォームを用いて宇宙の起源や古代遺跡の意味などを探求する彼女に出会い、ダークなシンボリズムと美しい服へのパッションを共有することになったデザイナーは、今回彼女のペインティングを元にしたプリントを製作。人体をキャンパス、動くギャラリーに見立て、シグネチャーであるテーラリングとセンシュアルなドレープに、ピュアレッドとセルリアンブルーをはじめとしたアブストラクトなアートがプリントされた。
スリーブレスのドレスやドロップクロッチパンツ、そして力強いショルダーラインを描くジャケットを中心に、コッパーパイプとロープのアクセサリーを加え展開されるルックは、折り紙のようなプリーツとジオメトリックなカラーブロッキングにより、エレガントなアングルを生み出すアシンメトリーに仕上がられた。
外見の美しさに内面の強さを備えた、インテリジェントでミステリアスな女性であるZinaida Lihachevaをミューズに、人間古来の本能と現代の洗練が融合したコレクション。
Photo:Takahito Sasaki Text:Yasuyuki Asano