Margaret Howellは素材、カッティング、縫製、プロポーションすべてにおいてシンプルで洗練された「上質」であることにこだわるデザイナーだ。新作コレクションには、白シャツ、トレンチコート、定番スタイルのパンツなど、流行すたりのない洋服が、必ずその中心に据えられている。S/S 2013 コレクションも例外なく、彼女の高い美意識を垣間見ることのできるショーとなった。
オーバーサイズのシャツワンピースが今季のメインルック。ふわりとスクエアになったシルエット、袖もボリューム感のある作りだが、襟元はコンパクトに引き締められ、背中にはソフトなギャザーをオン、野暮ったさのない計算された美しいラインを作り出した。ボクシーなジャケットやダブルのステンカラーコートの様なかっちりとしたマニッシュな定番スタイルから、ニットのビキニやデニムのタンガリーのジャンパースカートといったリラックスモードのアイテムまで展開。たびたび現れたセーラー帽は可愛らしく、シンプルな洋服の中で程よい遊びを効かせていた。
全体的にどこか懐かしい少年っぽさを匂わせるボーイッシュかつレトロなマリンテイスト。それでもエレガントな女性らしさを決して失わないのはMargaret Howellの「上質」の信念がデザインや素材の細部に行き届いているからこそ。奇抜な装飾などは一切使用しない自然体こそが美しいことを教えてくれるコレクションであった。
Photo:Yuta Fukuda Text:Akiko Sakuma