テーマは「I want to believe」。SFテレビドラマの映画「Xファイル -真実を求めて-」から取ったものであり、ショー前にナーバスになったときに「I have to believe」と言い聞かせることから至った。
デザイナーであるシュエ・ジェンファン氏が旦那さんに出会った頃に「ハーモニー・コリンの映画”ガンモ”の世界が似合う」と言われたことを覚えており、映画の世界観がコレクションの題材となった。”ガンモ”はアメリカの田舎町の物語で、竜巻による村の崩壊が希望のない村の象徴として描かれている。「ただそこにいる人々は希望がない中でも生きて行くという選択肢をとった人のストーリーで望みも別に必要ないし、絶望もないという街を今回はテーマにしたかった」とジェンファン氏。
映画のワンシーンに子供がお風呂の中で、チョコレートやスパゲッティを食べるシーンがあり汚らしく見えるその光景が街を象徴するものに思えたことから、中央に置かれた浴槽の中では少女がスパゲッティを食べ続けている。
シールを沢山貼付けたトレーナーうあ赤やブラウン系のチェック柄のパンツ、アメリカの子供のパジャマのような柄のジャケットといった映画の舞台である、アメリカの田舎町を感じるようなノスタルジックなアイテム。ピンク色の花柄ニットやハート刺繍の入った水色のボアコート、ミントグリーンのオーバーサイズジャケットなどのどこか人工的なカラーリングも、ガンモの印象深い黄緑やピンクのグラフィックが想起される。
ラストに登場したUFOは「絶望なところにUFOが飛んできて彼らには希望の光に見えるけれど、実際宇宙人にとってはただの暇つぶしの釣りをしていただけというバタフライエフェクト」を表現した。
Text:Tomoka Shimogata