Fashion Show

SOMARTA

「CRYSTALLOS -結晶花-」をテーマに2013年春夏コレクションをブラッシュアップした今シーズン。前回の”BLOOM”というテーマのもとアール・ヌーヴォーを意識した曲線的なモチーフに対し、時間の経過と共に今季はアール・デコからインスパイアされていることから、会場もフランク・ロイド・ライトの建築物である自由学園の明日館をセレクト。砂漠の薔薇のように硬質的な石が花状の結晶を作る現象を参考にイメージを膨らませている。

「一つのコンセプトを色々なテクスチャーで表現したかった」と廣川氏が語るように多種類の新たな素材に挑戦している。ブラックのシルクサテンにメタリックのメッシュ生地をかけたドレス。経編みのチュールメッシュ生地は固い表情に対し、実際触れてみると極めて軽く柔らかい素材だ。氷、鏡といった煌めく立体感を感じる新たなグラフィックの刺繍を入れたドレスや氷柱のようにカッティングされたスカートの裾など直線的なラインが際立つ。

赤と黒のファーのトップスの背面には太糸のクロシェ編みを組み合わせ、力強く咲き誇る花々のよう。またビーズドレスはひと際輝き、水分を感じるような表情を交わす。曲線から直線へと変化したことによって愛らしい女性から知的で凛とした女性が浮かぶ。

日本的なイメージのドレス作りをしたこともあり、折り紙のような折れ線で表現したドレスを展開。花が開いたようなベースをパターンの段階で畳み込んでいき出来上がったライン。アメリカン・レジェンドのミンク、ラビット、フォックスのファーを使用し、ファーを織り込みながら編んだというニットも登場し、素材を駆使した表現にさらに一歩踏み込み、新たな境地へと向かう。

Text:Tomoka Shimogata


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