Fashion Show

Martine Rose

常にユースカルチャーを感じさせるコレクションを発表してきたMartine Rose。シュルレアリスムアートをストリートウェアに持ち込んだ前回のコレクションに続き、今回もアーティスティックな世界観を打ち出した。

インスピレーションとなったのはバロック期を代表するイタリアの芸術家、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの「The rape of Proserpina (プロセルピナの掠奪)」。この彫刻作品における、堅い大理石を使いながらも卓越した技術により人間の肉体の柔らかさや躍動感をリアルに表現している点に着目し、素材の性質を超越することに挑戦。

その視点が最も端的に表れているのが、袖や裾の切り替えなど多くのアイテムで取り入れられたネオプレン。近年多くのデザイナーに使用され見かける機会も多い代表的なハイテク素材であるが、今回Martine Roseはネオプレンに型押しプリントを施すというアイデアを採り入れた。

彫刻作品から着想を得た手のモチーフは多く使われ、更にネオプレンのボリュームやもうひとつのキー素材であるブリーチデニムにより、プロポーションとサイズにも遊びを出した。またオレンジとブルーのカラーコンビネーションで現代的に仕上げ、そして刺繍マスクや手に持ったTシャツでストリートな感覚とアートの不思議なムードをより一層高めた。

Text:Yasuyuki Asano


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