ロンドンメンズコレクションss13開幕初日の6月14日、コヴェントガーデンにあるイベントスペースにて、TOBEFRANK ss13 ライブプレゼンテーションが行われた。
イギリス出身の若手女性デザイナーFrances ‘Frank’ PhillipsによるブリティッシュメンズブランドTOBEFRANK。常に「the real gentleman」にこだわりつつ、モダンなデザインを得意とする注目ブランド。
会場に入るとまず目に入るのが「HANDMADE IN ENGLAND」と題されたコーナー。職人を実際に招き、来乗客の目の前でハンドメイドで服を作る過程が披露された。ボタン一つ、細部に至るまで「イギリス製」にこだわるデザイナーの姿勢が感じられる空間となっている。
同室の壁一面には、デザイナー自身のインスピレーションソースである写真やメモ、古い乗船切符の半券などが所狭しと貼られていた。これは、デザイナー自身の思い出の私物の数々。特に今回のテーマであもある「家族の歴史」とは、イギリスからオーストラリアに船で移住したという、彼女のおば(彼女の祖父の姉)の経験がベースだ。船や漁師を写した古い写真は、オーストラリアの海沿いの街のムードが感じられる。
地下への階段を下りると、そこには新作コレクションを身にまとったモデル達がずらりと並ぶ。来場客の目の前でメイクやスタイリングをされる様子は、まるでショーのバックステージを見ているかの様な演出。
今回のコレクションでは、ジャケットとシャツをメインスタイルに、さらに重ね着を楽しめるベストやスプリングコートも発表された。無駄のないシンプルなデザインで、全体的にすっきりとした印象だ。ジャケットやシャツスタイルにハーフパンツを合わせる事で、オーストラリアの海辺に似合う様な爽やかで活動的なイメージに。その足元には、ブリティッシュを連想させる、サスペンダーの様なアクセサリーが付けられた。
シンプルなデザインに対し、今回のポイントはカラーリングだ。レッド、ブルー、イエロー、原色を貴重としたカラーパレットを使用。主に原色同士のカラーブロッキングにより、先シーズンよりもよりポップでモダンな印象に仕上がっている。ジャケットやシャツの襟や胸元、パンツの膝部分の切り返し、さらにジャケットの裏地には、ベースのカラーと違うカラーが合わせられ、ビビットなコントラストを見せた。今回、唯一の柄物であるブランドロゴを全体しあしらったシャツも、爽やかでマリンな印象を受ける。
カラーを意識したコーディネートを楽しみつつ、気負わず日常生活に馴染むシンプルなデザインで、多目的に着る事ができるコレクションだ。
Photo:Erika Shiotsu Text:Yukari Inatomi