ゴス・ロマンティックをベースにしたクチュールと趣向を凝らした演出で、毎回様々なフェアリー・テイルを見せてくれるMeadham Kirchhoff。Edward MeadhamとBenjamin Kirchhoffの二人による圧倒的な世界観のウィメンズウェアは、過去数年ロンドンファッションウィークで最も注目を集めるショーのひとつとして君臨してきたが、実は彼らがレーベル開始当初に手がけていたのはメンズウェア。そして今回London Collections: Menの開催に合わせ、約6年振りとなるメンズウェアコレクションが遂に発表された。
吸い殻や空き瓶が乱雑に置かれたテーブル、無造作に散りばめられた花々、そしてベッドに横たわる少年達。会場となったヴィクトリアン調の建物に広がっていたのは、パーティも終わりを迎えた朝方、退廃的な時間を過ごす少年達の部屋。そのイーストエンドらしい何気ない部屋は時に、ファッションショーの会場よりも、どんなにおしゃれなブティックよりも、最もクリエイティブな空間になる。
セーターやナイロンパンツ、ナイキのスニーカーなどキャンディーカラーのスポーツウェアをベースに、ドレスなどフェミニンなアイテムが繊細にレイヤードされ、ディップダイやタトゥーを施した少年達はアンドロジナスな表情を見せる。アドレッセンス的パンクさと、ロマンチックでドリーミーなムードが不思議と同居した少年達の日常着は、正にロンドンらしいエナジーを感じさせる仕上がりを見せた。
Photo:Hiroyuki Ishimizu Text:Yasuyuki Asano