セントマーチン卒のLee Roachは、Meadham Kirchhoff、サヴィルロウのKilgour、そしてPeter Savilleというそれぞれスタイルは異なるがUKを象徴するデザイナーのもとで経験を積んできた。そのような興味深いバックグラウンドを持つデザイナーから生み出されるのは、純度の高いミニマルなコレクション。スポーツウェアやカラー、プリントが全盛のロンドン若手メンズウェアシーンにおいて、昨年のFashion Eastの合同展の頃から彼のピースは異彩を放っていた。
Fashion Eastのサポートにより実現した今回のサロンショーでは、ミニマルなスカルプチャーやインスタレーションで知られるアメリカのヴィジュアルアーティスト、Felix Gonzalez Torresの3つの作品、『Untitled (Orpheus, twice)』『Untitled (Loverboy)』『Double Fear』をレファレンスに、彼のミニマリズムが存分に表現された。
自身のスタイルを「減少と繰り返し」と述べる彼のシグネチャーは、モノトーンカラーと、ボタンやシームの代わりに使用されるストラップ。例えば、テーラードジャケットのラペルは削除され、ボタンのあるべき位置には2つのストラップが取り付けられており、またスリーブレスのベストは前身頃と後身頃がシームではなくストラップで接続されている。
そして今回モノトーンのパレットに挿入されたのが、メタリックなシルバーとデニム。特に初めて使用されたデニムアイテムは、機能性は取り込みながらもカジュアルさを感じさせることなく、見事に彼のミニマリズムに溶け込んでいる。
くり抜きやリフレクターが施されたNikeのサンダルとスニーカーは、昨年のFashion Eastにて隣同士で展示していた頃からは全く想像できなかった、Nasir Mazharとの意外なコラボレーションにより製作された。
Text:Yasuyuki Asano