シーズンテーマはMaboroshi。ショー自体がとても早くすぐに消えていくもので、ずっと見て考えるというより感覚的に出会って消えていくファッションの瞬間的な部分を表現したかったことから今回のテーマが生まれた。
ここ何シーズンかやっているジェンダーに対して、特に男性に対しての新しい提案ということで今までよりサブカルチャー要素を少し減らし、性というものとファッションでやれたらという思いから、ランジェリーのようなオーガンジーガウン、フリルブラウスなどメンズに女性的なデザインを取り込んでいる。綿飴のようなコットンをそのままフリル使いしたスウェットやBroadwayと書かれたチアリーディングのユニフォームスタイルを展開。
身体を汗を滲ませ、花びらモチーフで装飾されたトランクスや猫の刺繍入りのシースルースカートを纏ったモデルたち。秋冬コレクションでも露出度の高いアイテムを展開したことについて、「ファッションそのものが人との出会いを凄く軽視している気がして、ファッションでしかできない人と会って生で感じるというところを入れていこうという時に人の肌が見えたり、セクシャリティーを感じるというのはファッションの可能性がいっぱいあるところだと思う。」と坂部氏。
シースルーのスタジャンやパンツに刺繍された十字架、ニット柄に見られる校章、セーラーカラー、聖母マリアといったモチーフは「これから東洋に移っていく経済の価値とか、人々の求めるものとか格好良い男性像が変わってくるというのもあって今までのような論理的な世界よりもっと感情的になっていくのではないか。メンズだけどもっと女性的なものを入れたりもっと感覚的にミックスしていくようなもの」としてデザインの中に落とし込んでいる。
Text:Tomoka Shimogata