1992年公開映画「Damage」のヒロイン、アンナ・バートンの女性像を切り取ったコレクションタイトルは”Anna”。イギリスの上流社会を舞台に、御曹司がある女性との出会いをきっかけに家族と共に破滅していくストーリー。
20年代のアンティーク生地を主人公の男のように、破滅的に裂いてパッチワークを施す。メンズ向きの布をイメージしたベースに、レースを重ねることでフェミニンさをプラス。黒や赤の複雑な混ざり合いが、ヒロインのような悪女というだけではなく執念を見せる。
ブランドのキーアイテムでもあるチャンキーニットは継続しながらも、クロスステッチやツイスト技法を用いたニットでさらなる複雑さと幅広い表情のアイテムを提案。
ジャケットやドレスの背中を大きく開き、二等分したデザインは映画の象徴となるディテールの1つ。フォーマルさの中に欲望など感情を吹き込んでいる。
ズレ感を生かしたニットドレスやパッチワークスカート、ダメージをかけた部分から新たな素材を引き出すといったデザイン性の高いテキスタイルにこだわり抜いたコレクション。
Photo:Akio Narikawa Text:Tomoka Shimogata
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