テーマは「幻想曲」。国境、時代、空間と様々な境界線をなくすことで見方を変えるという考えから生まれたコレクション。
はっきりと色鮮やかなグリーンのシフォンドレス、ターコイズ×ピーコックグリーンのトレンチコートを強調するようなモノトーンのアイテムが会場に選んだ明治記念館の芝生によく映える。場内にはインビテーションに香り付けされた夏の花の甘く爽やかな香りが漂う。この香りはアロマキャンドルとして発売予定だ。
ロングガウンコートにショートパンツやカラーブロック、クリアヒールのサンダルがスポーティな印象を受ける。和紙を起用したテキスタイルのアイテムはシャープなラインを演出。通気性や水気にも強いこの素材はすっきりとした軽さの中に柔らかさも感じる素材感に仕上がっている。
ドレスに大きく描かれたひまわりの花は手捺染によるもの。下地となったイエローやグリーン、ブルー、オレンジが広がるグラデーションは機械を使用したものだという。前シーズンから職人技術と最新テクノロジー(インクジェット技術)を兼ね備えた京都の工場でテキスタイルを生産している。
「機械は大量生産で悪いイメージになることもあるけれど、機械で出来るものの良さもあります。曖昧な美しい色は機械で出来るもので機械でしか出来ない深みのある美しい色を使用しました」とデザイナーの荒井氏。
人類の進化に伴った機械による技術と伝統ある職人の技術を境界線を持たず、融合させた表現を提案した。
Photo:Tomohiro Horiuchi Text:Tomoka Shimogata