テーマは”appearance ”。
今回のコレクションは、壁掛けの真鍮のフックに吊るされていたオーバーコートや、乱雑に脱ぎ捨てられていたワークブーツを目にしたときの、小さな違和感から始まった。身体とともにあることを想定して作られたはずのコート、あるいはワークブーツ。それら身に付けられるべきものが身体から打ち捨てられたときに見せる顔つきに、小さなひっかかりを覚える。そのとき、身体の不在によるフォルムの新鮮さに心を動かされただけではなく、不在それ自体の力によって、想起と連想を強制されていた。
かつてそこにあったもの。今は失われ、その痕跡と余韻をかすかに残すだけとなったもの。不在の気配とでもいったものの持つ、想起や連想へと私達を導いていく力。そして、必然的に古めかしく儚げな、それらのたたずまい。今回のコレクションにおけるdivkaの取り組みは、このような連想の網の目を拡げていくことであり、また、その連想を一つのイメージへと結合させていくことだった。目の前にある一枚のテキスタイルの、そして服のフォルムの現われが、埋もれていた、かつての世界を呼び覚ましていくこと。divkaは誰も知らない服を、彼ら自身も知らない服を作り出そうと試みている。