「吹けば飛ぶような、風になびく服。」をテーマにした今回のメンズコレクション。
光が透けるほど薄い生地のギャザーパンツやドルマンスリーブのジャケットなど、軽やかな生地でできたリラックスしたピース達。歩く度に、たっぷりと与えられたボリュームは空気をはらんで大きく膨らみ、ジャケットやシャツから垂れた紐は跳ねるように動く。
ブラックやグレーを基調に、時折オレンジやブルーなど鮮やかなカラーが大胆に取り入れられ、後半は「ろうけつシノワ染め」で中国の古い図柄をイメージしたプリントを展開。インディゴブルーのトライバルパターンで、風の吹くまま自由に放浪するボヘミアンなムードが表現された。
またコレクションのもうひとつのキーとなっているのが、アイビールック。ジャケットやパンツはコンパクトながらもほどよくリラックスし、時にはボリュームのあるバルーンパンツが組み合わされる事でますますYohjiらしい質感に。ここでもジャケットやボタンダウンシャツからは紐が伸び、スリムなシルエットの中にも風を感じさせる。
60年代に登場し、規制概念にとらわれない若者の象徴であったアイビーファッション。そのメンタリティをボヘミアンにレイヤードしながら、今や定番となったアメトラスタイルを再解釈した。モデル達のメイクのように傷つきながらも、社会の規範に縛られず自由な考え方で、自分らしい道を進む人々のための軽やかな服。
Text:Yasuyuki Asano