Fashion Show

Walter Van Beirendonck

毎回ファンタジー溢れるコレクションを見せるウォルター。今回はFolkert de Jongによる大きなハットが示唆する通り、「不思議の国のアリス」のThe Mad Hatter (帽子屋)の奇抜なルックをベースに、テーラードスタイルにパステルカラーやプリントでウォルターらしい思い切った遊びを効かせた。

しかし、「Silent Secrets」と題されたコレクションに秘められているのは、現代のインターネットを駆使したソーシャルネットワーキング社会への皮肉。

チェック柄のスタンドカラーやストライプのダブルブレストで展開されるジャケット、パリッとしたドレスシャツ、ショーツにハイソックスといった貴族的なアイテムにプラスされたのは、ハーネスやリングガーター。シースルーパンツからはソックスのグラフィックが覗き、またシャツをまくり上げることでロンググローブの存在感が増す。Tシャツにはトライアングルと目のモチーフ。

今でも引き継がれる秘密の貴族社会をオマージュしつつ、本来服の下に秘められているものを大胆に露出することで、皆が危機感もなく自らのプライバシーをさらけ出す、もしくはそのプライバシーで敢えて情報武装する様を描く。

特にだまし絵Tシャツやボンバージャケットのギャザリングでも使用されたボンテージは、WWW上の繋がりのようでもあり、現代のソーシャルネットワーキングにおけるしがらみを表現しているようにもみえる。そして最後には、貴族の象徴的なひだ襟に幾つもの矢が刺さった、純白のスーツのルックが登場した。

Text:Yasuyuki Asano


コメントは停止中です。