MANに初めて選出されたAlan Taylor。アイルランド出身の彼は、Simone RochaやAlexander McQueenで経験を積んだ後、数シーズン前にレーベルをスタート。アイルランドのツイード会社と協力し、伝統的な手法を用いながらモダンに生まれ変わったツイードを用いて、クラシカルなメンズウェアを再構築する。
今回のコレクションのベースとなっているのは、彼独自の第4次元理論。もし我々が4次元の存在で、3次元の物体を見るのであれあば、通常目に映る2次元の視点ではなく、理論的にはその物体の全ての側面を同時に見ているはずである、という考えのもと、ツイードとリネンをクラッシュさせ、更にシースルーのシルクオーガンザを組み合わせた。
またロンドンのファッションライターCharlie Porterが、自身のブログで見慣れたコレクションルックを上下に反転させる事で服にフォーカスする手法からもインスピレーションを受け、トップスやジャケット、シャツが上下逆さまで取り付けられている。
アーバン・ストリートウェアの流れが未だに勢いを見せているロンドンの若手デザイナーの中で、メンズのクラシカルなピースをドラスティックに変えていこうとする彼の心意気を見せた今回のコレクション。ロンドン・テーラリングの新しい旗手として、より力量がより発揮されるであろう次回のAWコレクションに注目したい。
Text:Yasuyuki Asano