究極的にウィメンズウェアの要素を取り入れ議論を巻き起こした前回のコレクションに続き、今回も思考を想起させるコレクションを見せたJ.W. Anderson。
現代幾何学の強迫的解剖をテーマに、全てのルックは変型チュニックトップとオーバーサイズ気味のワイドパンツで構成。ジャケットやシャツは一切使わず、またカラーもモノトーンで、ツイスト、結び目、パッチワークなどを自由にカット&ペーストしたトップスで変化を見せる。
彼独特の詩的なミニマリズムに基づき男女の境界を曖昧にしていきながらも、今回はよりフューチャリスティックでどこか儀式的な仕上がり。シースルーやフローラルなどを取り入れつつも、フェミニンというよりはアンドロジナスに、またトップスのディティールはランダムなようで、テクスチャーにジオメトリックな深みを持たせるよう緻密に計算され、ワイドパンツと組み合わせされることで建築物のような力強い縦長のシルエットを見せる。
誰しもが持つ無様で不器用な面を肯定していくかのようなプロセスで、メンズの新しいプロポーションを求めたコレクション。
Text:Yasuyuki Asano