Fashion Show

Laitinen & Heikki Salonen

ロンドンのロイヤルカレッジオブアートを2008年に卒業後Fashion EastやNEWGENに選ばれ、グランジーでマスキュリン、ポエティックなコレクションが注目を浴び、昨年からDiesel Femaleのデザイナーも務めているHeikki Salonenは、今回がパリメンズファッションウィークでのデビューコレクションであり、同時に初めてのメンズウェアの発表となった。

コレクションタイトルの「Band Ache」は、昨年12月インドネシアの敬虔なイスラム教地区Banda Acehで起こったパンク狩り事件から名付けられた。津波災害以降急激に自由化が進む同地区でのローカルコンサートに集まったストリートパンク・キッズ達が、外見がパンクであることが秩序を乱すとして宗教警察によりモヒカンヘアを剃られ、水浴などを通してモラルの再教育が行われたこの事件において、勇敢なアティテュードを示したパンクス達への敬意が表された。

東洋哲学、18世紀のアナーキストムーブメント、北欧のシャーマンのようなアーツ&クラフツなど様々なオーソドックスでないものをインスピレーションにしたというコレクションは、ブラックやベージュといったベーシックなカラーを基調としながらも、豊かなテクスチャーとデミクチュール感溢れるグランジーなディティールにより、ストーリー性を有した神聖なムードに包まれながらも、同時に静かなるエッジを感じさせる。

ロングコートやジャケットはブロケードや風合いあるウールで作られ、チノパンやショーツにはレオパート柄のパッチやハンドステッチ、切りっぱなしなどラフなフィニッシュ。またシャープなテーラードアイテムとカジュアルでドレーピーなアイテムをミックスし、ウエストやパンツの裾をベルトアップしたりすることでシルエットに変化が与えられた。

Text:Yasuyuki Asano

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