Fashion Show

JUN OKAMOTO

JUN OKAMOTOが2012 S/Sのcollectionを発表した。今期のテーマは『朝食・シャンパン・日々の泡』。全てが泡に見えてしまう「彼」から見えるドットの世界と、ふたりの挑む朝食の風景をアイテムに落とし込む。
今期から本格的にメンズを展開。レディースの生地を使ったカトッソー、ユニセックスでも着られるであろうジェンダーレスなコートなどを披露。またレディースではテーマとリンクしたドットを中心に爽やかなカラーリングでまとめ、エプロン風のワンピースはオリジナルのテキスタイルを使用し独特のテクスチャーを備える。幻想と現実の狭間で見た景色をアイテムに投射し、男性のフィルターを通したが故の、繊細で透明感のあるコレクション。

Text:Fumiya Yoshinouchi

『朝食・シャンパン・日々の泡』
『頭の中に泡がありますね』医者はいとも簡単にそう僕に伝え、簡易に包装された包み紙を渡した。
家に帰り包装を解いてみると目薬が入っていて、ラベルに「CHAMPAGNE / 1975」とだけ記載されていた。
僕はその目薬を口から流し込みたいのを我慢して、一滴もこぼさないよう注意深く目に差した。

朝早く目が覚めて、太陽の光を浴びようと窓へ向かった。
朝露のベールに包まれた薄いカーテンは、いつもにもまして爽やかに揺れていた。
僕はそのプチプチとしたドットで出来たカーテンに手を、、、
と、僕はそこで気がついた、僕の目に映るものが全てシャンパンに飛び込んだような泡(ドット)の世界になっている事を。

彼女はいつも朝食が出来上がる頃に起きてくる。
彼女は起きると、水を飲んだ後の猫みたいにさっと顔だけ洗い、朝食の為の洋服を選ぶ。
もちろん僕もきちんと着替えて朝食を準備する。
これは僕たちの小さなルールなのだ。
今日の彼女は、シャンパンの中で立ち上る泡のようなワンピースを着ていた。
僕はそれより少し大きいドットのシャツと、ゆったりとして裾にまだ泡が残っているパンツをあわせた。
『おはよう。』
彼女は殆ど口を開けずにそう言い、席に着いた。
僕は少し冷えたシャンパンをグラスに注ぎ『おはよう。』と返した。

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