毎回趣向を凝らした演出と圧倒的な世界観で、過去数年ロンドンファッションウィークで最も注目を集めるレーベルのひとつとして君臨しているMeadham Kirchhoff。今回のロンドンコレクションズ：メンでも、昨年６年ぶりに復活したメンズウェアラインを継続して発表した。

大量のゴミ袋にペンハリガンのハマンブーケの香り、そしてアンドロジナスなモデル達が厳粛に佇む、活人画のような空間。パーティを終えた少年達の部屋を表現した前回のインスタレーション同様、今回も会場に一歩足を踏み入れるとすぐにそのストーリーに引き込まれる。

「PLEASE!」と題された今回のコレクションの少年達は、戦時のモノクロポートレートのようにどこかノスタルジック。フレンチシックに宗教的な装いやミリタリーを織り交ぜながら、クラシカルなベストやハイウエストパンツに、ビーズ刺繍のジャケット、スラッシュの入ったスモック、そしてプリントTシャツやナイキのソックスを合わせる。

今回も彼ら独自の美学でクチュールとストリートが繊細に紡がれ、少年達の退廃的なロマンチシズムを感じさせた。

Photo:Hiroyuki Ishimizu Text:Yasuyuki Asano