デザイナーAlexandra Verschuerenはアントワープ出身。2009年にアントワープ王立芸術アカデミーを卒業し2010年のイエール国際モードフェスティバルでグランプリを受賞。現在はパリを拠点にデザインワークを行っている。
今季のテーマは犬の遠吠えという意味を持つ「Houl」。これには今季のデザインや使用したマテリアルが反映されている。まず、犬という所からハンティングをイメージし、そこからハンティングジャケットなどを作成。そこから更にプリミティブという方向にテーマを深め、天然由来のラフなファブリック、オーガニックコットンがそのままでも、加工してファーにも使用した。このテーマは更にマテリアルの染色にも影響し、ワンピースの染色には果物の柿を使用するというユニークな方法が取られている。
前回同様、職人技術を駆使して作り上げられたコレクションにはMade in Japanの技術が多く使われている。デニムは岡山産、ニットも1時間かけて1メートルを織るというサーキュラーニッティングマシーンを使い日本で生産したという。この器械を使う事によりテンション(毛玉)ができないニットを完成させた。
彼女のシグニチャーアイテムであるポリエステルのシースルーファブリックにも新作が登場。タンクトップやスカートを展開しているが、特殊な加工を施す事で洗濯機を使用しても型崩れしないという。他のアイテムの上に着る事で違う素材感やカラーリングが楽しめるように、その下に着る為のシンプルなカットソーやボトムウェアなども肌触りの良いテンセルやカシミヤで揃えられた。パステルトーンを多く使った女性ならではの柔らかな色使いも印象に残った。
Text:Eriko Higashida