Interview

ohta 5/6

「なるべくそのシーズンのものを着る。着てわかることがあるんですよね。それが無くなると本質的に洋服として良いものというものは出来ないと思うので。着ることで欠点を見つけていくという事です」

―ブランドを始めてから10年程経過しましたが作っている服のテイストは今と昔で変わってないですか

見た目は変わってますがベースとしては自分的にはあまり変わっていないと思います。どちらかというとストリートの匂いがするとかカジュアルだったり、昔からそっちですね。

―昔から自分の洋服は良く着られていたんですか

そうですね。

―今でも昔の服を着たりしますか

あまり着ないですね。

―そのシーズンのモノを着ているんですか

なるべくそうしようとしていますね。着てわかることがあるんですよね。それが無くなると本質的に洋服として良いものというものは出来ないと思うので。着ることで欠点を見つけていくという事です。

―一番新しいコレクションが毎回自分の一番好きなコレクションですか

それを目指しています。ただ今はまだそうじゃないですね。全体的には言えない部分が出てきて「あそこは良かったけど、ここは良くない」とか。

―一番好きだったコレクションはいつのシーズンですか

無いですね。アイテムとしてはありますけど全体としては駄目でしょうね。しょぼいと思いますしみんな凄いと思いますよ。

―周りのデザイナーから影響を受けたりはしますか

喋ったりして「こういう考えがあるんだ」って思うことがあるのでちゃんと聞くようにしています。でもそれを参考にするかどうかは別ですね。影響しているとしたら勝手に影響していると思います。意識してどうこうというのはないです。

―デザイナーの知り合いも多いですよね

少ないと思いますよ。普段デザイナーさんと会うことはないですし。

―商品一個一個に独特な名前が付けられていますが

最近は表に出すのは止めたんですけど(以前は商品のタグの裏に詩を載せていた)服を作っている時に文章を書いているのでそこから切り取って洋服の名前にしていったりしていますね。

―その文章というのはいつ頃考えるんですか

服を作る前、早い段階ですね。言葉の使い方が違うだけでウェブに書いているような日記のようなものですね。

―自分のブランド以外、他のブランドで働こうという考えは無かったんですか

無かったですね。そういう選択肢が全くなかったですね。ただバイトして服を作るだけで頭がそれだけしか考えてなかったんですよね。

―洋服を作るのは楽しいですか

95%は苦しいですね。色んな苦しいことがあるんですけど「生活の為にお金が必要」ということは日頃凄く頭を占める事ですし、でも続けていきたいし、別の仕事もしたくないし、そういうのは苦しいですね。

―残りの5%はなんですか

最初の考えている時は凄く楽しいですね。良い生地が上がってくると嬉しいですし。色々あります。

―生地は全てオリジナルですか

ほぼそうですね。好きな生地でやりたいですからね。

―デザインが生まれなくて困るということはありますか

それはないですけど作った時にこのデザインが微妙となった時は苦しいですね。

―少しずつ自分の作品に満足できるようにはなってるんですか

「ここをこうすれば良くなる」というのを具体的にわかり始めているのでそういう意味では良くなっているのかなと思います。ただそれを生かしても結局また次に新しい問題が出てきますからね。だから苦しいですね。

―完璧なコレクションは生まれないと

無いでしょうね。

―インスピレーションが途切れる不安はありますか

無いですね。自分の生活が変にならない限りは大丈夫だと思います。社会に流されてしまったりだとか。そういう風になると変になるというのは自分でわかるんです。自分が生きていく上で不満とかはいっぱいあるので本当はそこなんで、それが途切れたら幸せなんで途切れたらそれはそれで別にいいと思うんですよ。

―東京に移り住んでデザインや考え方は変わりましたか

無いと思います。意識的に無いと言っているだけかもしれないですけど。ただビルの多さとか人の多さだとかそういうのが多いので何か関係しているかもしれないですけど。

―世の中の経済状況を意識したりはしますか

あまり気にしていないですね。僕が気にしたところでどうにもならないと思いますし。

―日本のブランドで好きなブランドはありますか

本当に好きというブランドは無いかもしれないですね。

―それが自分のブランドになればいいと

そういうことでもないですね。自分がそれで食べていければそれでいいです。それでちょっとずつ良くなっていければ、それくらいです僕が出来る事って言うのは。

続く

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