Interview

D-due 1/2

目まぐるしく変化するファッションに対しての志向を反映した、クオリティの高いコレクションを提案し続けるD-due。大西洋を目の前にした、ガリシア地方のRia de Arousaという小さな港町を拠点とし、豊かに、美しく生きることを自然界とともに生まれながらに理解をしているガリシアの人々の美を、気品高く「衣」に落とし込んでいる。
ブランドは2ライン、collectionとLABを展開。よりコンセプトに特化した実験的な提案をLABで発表する。
ノスタルジックな雰囲気の中にモダンな提案を感じさせるD-dueのコレクションは、フランス、イタリア、ドイツ、イギリス、ルクセンブルグ、スイス、オーストリア、ベルギー、エジプト、ギリシア、インドネシア、クエート、アメリカ、中国、韓国そして日本など、世界中の個性派ブティックで展開され、ファンを魅了している。
今回表参道のsoup of he(r)artで開催されたイベントの為、来日したデザイナーのロサリオとホセに様々な話を聞いた。

―D-dueというブランド名にはどのような意味が込められているのでしょうか?

D-dueというブランドには二方向からという意味があります。一つの物事を一つの方向からだけ見るのではなく違う角度から見ることでより新しい考え方や見え方に気づいてより進化した見方をすることが出来る。そういうところに自分たちのブランドとしてのゴールがあるという意味が込められています。そのような考えがベースとしてあるのでデザインチームもロサリオはデザイン、ホセは設計、アルフレッドはグラフィックデザイナーとして存在していて、それぞれがプロフェッショナルとして全然違うジャンルの仕事をしていますが洋服のパターン、デザインという部分にアイデアを構築させて洋服として完成させる。色んなブレーンが集まってクリエイションが生まれる。そういった作業を凄く大事にしているブランドです。

―D-dueの中でホセさんはどのような動きをされているのですか?

ホセは2010年からD-dueに加入しましたがD-dueに入る前はアパレルの内装の設計の会社にいて店舗設計をしていましたのでD-dueとして内装提案をしています。
彼が入りD-dueの中に設計チームが出来ました。D-dueは洋服のブランドなのでその中において自分のエレメントを入れるという点においては以前の仕事のように内装をダイレクトにやるというよりはもっとパーソナルな部分で要素を取り入れてもらっています。また別の動きとしてブランドとしてではなくD-dueのデザインプロジェクトとして内装依頼の仕事をしたりもしています。


D-due 2014 S/S Collection:John Fowles著でのちにWilliam Wylerが監督した映画「the collector」からインスパイアされたコレクション

―内装を手掛けるホセやグラフィックデザイナーのアルフレッドがはいったことでD-dueというブランドにも凄く広がりがあったということですね。

1968年に母が立ち上げたドレスメーカーの会社がありそこにバルセロナとミランノで学んだロサリオが戻りブランドを立ち上げました。そこにパートナーとして3年後にファインアート出身のグラフィックデザイナーであるアルフレドが加わり、アートの要素が加わりました。最終的に2010年には内装や設計のバックグラウンドを持つホセが加わりそこにまた新しい考え方が入りました。

―ブランドも日々進化し続けているということですね。

私たちはファッションの一つの洋服としての完成度ではなく、一つのアート作品、芸術作品としての完成度を追求していこうということで日々洋服を作っています。そういった考え方でクリエイションをしていくとシーズン毎にファッションを提案する、というよりも人生と同じでライフスタイルがあり日々より豊かな人生を送るにはということで追及していくような、そういう流れの中で私たちがやっているのは進化といいますか、人生というものの今の時点での考え方を発表するというような感覚でやっています。

―クリエイションにおいて最も重要な要素はなんですか?

次のシーズンみんなと何を発表しようか、どんなことを提案しようかということをシーズン毎にテーブルの上で朝一から話し合っていくのですが、その時にお互いの今興味があるものを持ち寄り、その持ち寄ったものにお互いが反応しあって、これ凄く面白いね、とか、これこういう情報あるよ、とか、俺はこれ、私はこれっとなり最終的に色んな発見がディスカッションから生まれてきます。そういった作業をとても大事にしています。ディスカッションをすることにより一人の一つの考え方ではなく様々な側面から一つのものを料理することが出来るのです。
ロサリオの母が1968年にスタートしたスキルある職人たちと一緒に作っているドレスメーカーの会社から始まり、そこにロサリオが入社してアトリエに若い人の考え方やクリエイションが入り、仕立ての良いものを作るというアトリエとクリエイティブなものを作るクリエイティブオフィスが共存しました。通常ですとクリエイションと制作の過程には距離があり、アイデアをカタチにするためには外注をせざるを得ない工程もあるものですが、D-dueの場合はアイデアを出してからクリエイションが出来上がるまでを、若いデザイナーからおばあちゃま職人までの幅広い世代で手を組み、同じ場所で完成させることが出来る。思いついたものを形にしていくまでのプロセスをすべてタイムラグ無く自分たちの目で確かめながら完成させていけるというのは凄く私たちのアドバンテージでD-dueならではと思います。

―そういった哲学はブランド立ち上げ当初から形作られていたのでしょうか?

お母様が小さい頃からそういった仕事をしているのを見ていたのでそこから何か培ってきたものも勿論あると思いますが、家業として豊かなものがそこにあるのでいつかは実家に戻りたいという強い意志を持ちガリシアという町を出てデザインの勉強を学んでいました。
こういったものを作りたい、こういうことをしたいと思った時に、同じファッション出身の人とディスカッションをするよりも、ファインアート出身のグラフィックデザイナーであるアルフレドのような畑の違う人と話をする方が、面白いアイディアがわいてくるし、話が盛り上がることが経験上多かった。全く違うジャンルで仕事をしていても、核の部分で好きというものが同じ人と話をした方がアイデアが膨らむというのは日々の会話のやりとりのなかで気づいたことです。そういった経験を経て全く畑違いの人と話をしながらクリエイションを積み上げていくのは面白いなと思いました。

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