Interview

JUN OKAMOTO

デザイナー岡本 順が手掛ける「JUN OKAMOTO」(ジュン オカモト)が初の路面店を2013年11月1日(金)に代官山にオープンさせた。
JUN OKAMOTOのフルラインが揃う初の路面店としてはもちろんのこと、熊本のみで展開していたJUN OKAMOTOのコレクションのパターンを使ったセミオーダーライン[wallflower by jun okamoto]も同店舗にて東京に初上陸した。
建築家の谷尻誠氏と創作家の長谷川直子氏によるユニッが『キッチン』というコンセプトの元内装をデザインしている。

―なぜこのタイミングで単独店をオープンしようと思ったのですか?

Mercedes-Benz Fashion Weekに参加してファッションショーを行うことによってショーのルックが即座にネットなどを通じて世界中に配信されます。その中のたとえば5番、10番、15番のルックを実際に見てみたいとお客さんやバイヤーの人が思っても実際にその商品が揃って見れるのは展示会しかありませんでした。でもその展示会には一般のお客さんは来ることは出来ません。
ショーで発表した洋服を全てお店で見ることが出来るのはファッションショーをやっているブランドの中でも限られたブランドだけです。ファッションショーをやっても、それが目に見えて結果に繋がるわけではなかった。せっかくファッションショーを発表してもそれを皆さんに見せれる場所がなくて残念と思って終わっている状態が一年くらい続いていた。それではいけないなと思い、自分のコレクションが見れるお店を作りたいと思ったんです。
それに今年はシンガポールでショーを行う機会も頂いたのですがそこで、「どこかお店でコレクション見れないの?」って聞かれたときに自分には東京で見せれる場所がなかった“世界に向けて見せたい”とシンガポールに行ってより思ったのでさらに必要だなと。
勿論東京にも地方にもJUN OKAMOTOの洋服を取り扱ってくれているお店さんはありますが、お店によっておいているものも違うし、絶対的に東京という場所にないと世界の人に見せるためには難しいなと。たとえ地方で大々的に展開してくれるお店があったとしても、それはそこのお客さんの為のものだと思うんです。そういう意味でも自分のお店を作るタイミングだと思いました。

―自分の世界観で自分のコレクションを魅せることが出来る場所を作りたかったということですね。

そうですね。
シンガポールでいろんな人にコレクションを見てもらい、ゆくゆくは世界でやっていきたいなという意識が芽生えたので、そうなるとそういう場所が東京にある方がやりやすいのかなって。
東京という場所は海外から日本に来るときの玄関になる。地方のお客さんたちも東京に出てくるタイミングでお店にきてくれるようになるだろうし。今かなと思いました。

―具体的に動き始めたのはいつ頃ですか?

前回の秋冬のシーズンが終わったころ、5月くらいから考え出して実際にちゃんと動き出したのは8月くらいからだったと思います。

―それは前回に引き続きファッションショーをやるか、それともお店を作るかで悩んだんでしょうか?

悩みました。でもショップをやらないと、という思いの方が強かったです。ショーをやった後にショップで見れるという形を作らないといけない。それを今の自分の取引先に望むのは難しい。今の時点では現実的にそういう取引先がないし、それであれば自分で作らないといけないと思ったんです。

―企画からわずか3か月足らずで現実となったわけですね。

そうですね。お店の契約が決まったのも9月からですし。

―場所にもこだわりがあると思いますが、場所選びはどうやってしたんですか?

自分は広尾に住んでいるのですが、その頃恵比寿から代官山の方に向かって用があることが多くてなんとなく歩いていた。最初は恵比寿西の坂道周辺がいいなと漠然と思っていて代官山の不動産に行き漠然と探していました。
いわゆる普通の路面店で大きい鏡が3つあってというようなお店はイメージがわかなかったのですが、今の場所はぱっと見一軒家だし、この外観であればと思ってこの場所に決めました。

―隠れ家的な場所が良かったんですか?

本当は通りに面している場所の方が勿論いいし、お客さんが探してくるかといったらそこまでの知名度があるブランドでもない。でも結局こういう場所を選んじゃいました。

―場所以外の条件はどういうものだったんですか?

1階で30平米から50平米くらい。今の入り口は内見の時点では窓だったんです。物件を見た時にここが玄関にできたらいいなって思って。それが交渉して可能だってわかったからここに決めました。

―『キッチン』というコンセプトの元デザインされたそうですが内装でこだわった点を教えてください。

内装は谷尻誠さんと長谷川直子さんのユニットにお願いしました。
東京でお店を始めようと思ったときに自分一人ではお店を作りたくなかった。誰かと人の主観が入ってお店を作りたかった。熊本のお店は自分で全部ここはこういう色で、こっちに木を置いて、とかやった。でも東京はたとえばコレクションも一人でするものじゃない。スタイリストが入って演出家がいる。それと同じようにチームでショップを作りたかったんです。
ショップをやるって考えた時に時に10年来の知人の長谷川さんに話をしたら谷尻誠さんを紹介してくれて。彼女が選んでくれたから大丈夫だろうと。凄く有名な方なのですが自分は全然しらなくて・・・。
ショップの内装に関しては2人に任せっきりな感じでした。自分も熊本にいてコレクションを作りながらだったので図面と絵型を見て、wall flowerのこと、セミオーダーのことも伝えて話し合いを進めていきました。話をしていくうちに2人から『キッチン』というテーマはどうなのかなと提案されたんです。それはいいなと。

―JUN OKAMOTOのラインだけでなくwallflower by jun okamotoというセミオーダーのラインも当初からやる予定だったのでしょうか?

それはやるつもりでした。熊本はおしゃれの為というよりはお客さんは年配の人も多いし、オーダー屋さんみたいな感じになっていますけど熊本はそういう土地かなって思うんです。それを東京でもやってみたい。あまり深く考えずにとにかくやってみようと。東京店の特徴としては、アーカイブのパターン以外にも同じ空間に並んでいる新作においても、生地を替えた り、丈を長くしたり、などお客様自身でアレンジをするが可能となります。それに新しいものに関しても少しずつ話を聞きながら増やしたりもしています。今はまだそんなに色んなことはできませんが時期が進んだらワンピースだけをそろえてワンピース展だったり、そういうことも出来たらと思います。

―お店ではJUN OKAMOTO以外のものもセレクトしているんですか?

雑貨はJUN OKAMOTO以外のものもセレクトしています。ここまで歩いてきてお店に来るのであればせっかくなので何か気軽に買えるものがあった方がお客さんも嬉しいだろうし、そう考えるとウェア以外もあったほうが着やすいだろうなって。熊本はセミオーダーだけの店にしたけどどそんなに毎回洋服はオーダーできないだろうし、お客さん目線でも毎回何か見れるように何か工夫したかった。

―キッチンということですが食べ物等は出さないんですか?

今のところはその予定はありませんがたとえば週末パン屋さんを呼んでなにかやるとかはできたらなと思います。
週末は人通りも多いですし、サービス的なことも出来たらいい。庭の花壇に植わっているのはハーブなのでこれでお茶も作れるだろうし。

―岡本さん自身もお店に立つことはあるのでしょうか?

週に2回くらいは頑張ってお店に立ちたいと思っています。
基本的にはお客さんに選んでほしいと思っているので自分がそこで何かするとは思っていないけどデザイナーと話をすることが楽しいと思う人もいると思う。だから東京にいるときは出来るだけ立てたらなって。
それにJUN OKAMOTOのコレクションには物語がある、それはやっぱり自分で説明するのが一番だろうし。この場所であれば自分でそれを説明できる。だから元々自分がいるお店としてデザインしています。

―今回お店のオープンと2014S/Sコレクションの発表が同じタイミングでした。次はこの場所ありきでデザインをすることになります。何かそれがコレクションに影響してくることはありますか?

SSを考える時点でお店が出来るということは考えてデザインしていました。お店に来たからには何か買いたいと思ってほしい。そういう意味で今までより少しカジュアルな、大人の人の為のものだけでなく、若い子が買えそうなカジュアルなボーダーを使ったり、値段も抑えたものも出しています。それに今回の物語自体がこのお店の主人の話として書いています。MDまでは得意じゃないからやっていませんがお店をやることによりここでのお客さんの声も入ってくるだろうし、ブランドとしてそこで変化していくことが正しいだろうし自然だと思っています。

JUN OKAMOTO
住所:〒150-0034 東京都渋谷区代官山12-3
http://www.junokamoto.com/

Interview & Text:Masaki Takida

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