2月10日〜2月14日、日本橋のkagari yusuke氏のアトリエにて、”空間を持ち歩く” kagari yusukeと、”部屋の居心地を着る” hatraが、セレクトショップ「ミキリハッシン」主催のもと、共同企画展「巣・展」を開催した。今回はお二人に伺った展示内容をショートインタビュー形式で掲載する。
―展示に至った経緯を教えてください?
明松氏(以下K):ミキリハッシンのオーナーの山口壮大さんが担当する雑誌の連載でコラボレーションした時に、hatraと何か企画ができればという話が出たことがきっかけです。元々僕もhatraの「部屋の居心地を持ち歩く」というコンセプトが気になっていて、お互い空間に対するアクションで物を作っているので「普段の制作ではなかなか作ることが出来ない、ブランドを象徴するようなもの」を一緒に作ろうとスタートしました。
「引き籠もり」をキーワードに合作ではテントや蚊帳が案に出たのですが、一つの空間にあるものとして「こたつ」に行き着きました。お互いにパーカーにも鞄にも、こたつにもなるものを作ったら面白いんじゃないか、というのが出発点です。
―タイトルの由来は何ですか?
K:「巣・展」という名前は”引き籠る居心地を展示する”ことになった時にhatra側から出てきました。入り口の「巣展」と書いた壁をプリントしたターポリンの暖簾はハンドルを付けて、鞄の中にファスナーを開けて入るというイメージにしました。
―こたつ制作で重要視したことは何ですか?
K:企画概要からこたつが出ていたけれど、ただ展示の為だけにいきなりこたつを作っても面白くない。なので普段の制作とシームレスに繋がって、その上でこたつになるということに気を使いました。ちゃんとパーカーとしても機能しますし、天板部分の鞄も天板を抜けば鞄として使えます。
―こたつの構造を教えてください?
K:4着のパーカーが1枚に繋がっていて着脱可能なんです。1着ずつ着て歩くことも出来ます。その辺りのギミックにはすごく気を使って作りました。 布団部分には壁のプリントを施しています。
―コラボアイテムにはどんなものがありますか?
K:kagari yusukeの壁をプリントした作務衣とネックウォーマー。そしてhatraがコラボしているアーティストの埋名(マイナ)さんの細密イラストを使用してkagari yusukeからブックカバーと名刺入れを制作しました。それからhatraのパーカーを僕がエイジングしたアイテムもあったんですけど、それは大阪で売れてしまいました。
―コラボアイテムは何着作ったのですか?
K:全部で20アイテムくらいです。コラボアイテムに関しては基本的に東京展で受注を取った分で終了ですが、今後こたつを欲しいという方がいれば考えます。こたつも販売していて、配送料込みで399,000円です。パーカー4着に鞄、布団カバー、こたつが付いてきますよ。
―配送はどうされるんですか?
k:どうしましょうね。笑 都内だったら赤帽で、遠くだったらちゃんと梱包します。
―流している映像は何ですか?
K:僕が「虚像の質感」というコレクションを発表した際にCG作家のMOGRAPHIXX氏に制作してもらったCGとhatraのルックの映像を合わせたものです。
◆実際にこたつに入ってみると、出ることが面倒になるほど居心地が良い。最大4人着ることが出来るこたつに、来場者も気軽に入り、デザイナーや偶然居合わせた人と談笑している。卓上にはみかんやせんべいがあり、自分が外出して此処へ来たという感覚を忘れる室内感が漂う和やかなムードだ。
―こたつのパーカーはかなり大きいですよね?
長見氏(以下N):そうですね。搬入の当日に完成しました。半径3mくらいで、スウェット素材を15mくらい使いました。自分の部屋に持って帰れる毛布のような感覚です。1着ずつはポンチョのような仕様になってます。ちなみにこのこたつは「こたつ一号」と名付けました。
―展示を行ってみて自身の制作などに変化はありますか?
N:意外とみんなこたつに入ってくれることに驚きました。初めは入ってくれるか心配していたので、そういった意味でこの展示は成功だったと思います。
K:こたつに入るとお客さんとの距離が縮まりますね。普段の展示だとプレゼンテーションをするように話すのでこたつに入って何か食べながら話したり、だらだらしながら話すとくだらない話も出来て、その変化は大きいと思います。
N:見る側に普段の制作のコンセプトがより分かりやすい形になったのではないか、と思います。