3、『カリフォルニアは自分の世界って感じで、僕はそういうイージーなライフスタイルが結構好きなんだ。』
→Interview with Shaun Samson 1/2
→Interview with Shaun Samson 2/2
—では次に、ショーンのライフスタイルについて。毎日どんな服を着ているの?自分のコレクションも着たりする?
僕はああいうコレクションが似合うほどクールじゃないよ笑。今日は、KENZOのキャップに、オリジナルフェイクのニットだね。すごく快適なスタイルだよ。
—いつも着たいと思ったものを純粋に買うっていう感じ?
うーん、そうだね、でもMANでコレクションを発表してきて、デザイナーとしてやっていくのがいかにハードなことかわかったから、好きなデザイナーをサポートするためにも、ラフとかマルジェラとかのピースも着たいなと思っているよ。
他は、ほんとにシンプルなTシャツとかパンツとか、快適に仕事ができるものだね笑。
—ラフやマルジェラ以外に、特に尊敬しているデザイナーはいる?
全てのデザイナーだよ。例えスタイルが違っても、この業界でやっていくのがいかに大変か、僕自身わかっているから。成功するには運も必要だと思うし、ほんとに多くの人が成功したいって思っているからね。
他に名前を挙げるとすれば、数年前はジバンシーのリカルド・ティッシが大好きだったね。ストリートをレファレンスして、でもラグジュリーさはあって、彼はすごく尊敬しているよ。
—休日はどのように過ごしてる?ジェレミーのアシスタントをしているときのように、今もパーティに行ったりする?
その当時は本当に楽しかったけれど、パーティに行くのも仕事の一つだったからね笑。
昔は学校からの現実逃避としても、よくパーティに行っていたけれど、今は昔みたいな現実逃避はそれほど必要ないんだ。今のこの仕事ですごく満たされているから、週末もここで働く事も多いよ。
前の晩パーティで飲み過ぎたら、次の日もふらふらして仕事どころじゃないでしょ笑。そういうことをするほど若くないのかなって思うし、僕はそうする必要もないと思うんだ。スタジオで働いて週末を過ごした方が、満足できるから。
—ほんとに。仕事でストレスを感じることはないの?
勿論ストレスを感じることはあるよ。でも、外出して遊んでいても、十分に働いていないような気がしてストレスを感じるんだ。だから働き続ける。
僕の今の状況は本当にラッキーだと思うし、遊びすぎてこのチャンスを逃したくない。レーベルを始めたばっかりだし、この2年はレーベルのためにいくらでも自分の生活を犠牲にするよ。レーベルに集中しているんだ。
あ、でも90sR&Bのイベントにはたまにいくかな笑。
—笑。じゃぁ普段もよく聴くのはR&B?もちろんシーズンとか気分によって変わるとは思うけれど。
聴く音楽は変わるね。でも基本的にはやっぱりR&B、それにアシッドジャズとか、働きながらイージーに聞けるものかな。テクノとかじゃないし、ラップでさえハードすぎる気がする。
ウィーザーとか90sのバンドも、今また好きになってるね。ノスタルジックに感じるから。
—今までカリフォルニアとロンドンで、多くの人に出会ってきたと思うのだけど、その中でも特に、ショーンが自らのスタイルを見つけるのに、そしてこの業界で成功するのに、大きく影響を受けた人は誰だと思う?
うーん、やっぱりセントマーチンズのルイーズかな。強烈なチューターだったけど、本当にインスパイアされたね。
皆ファッションが好きで、ショッピングに行ったりドレスアップしたりするけれど、ファッション業界で働くことはまた全く異なるものなんだ。だから、ルイーズの教え方はアグレッシブだっていう人もいるけれど、ファッションの重要性に気付く事ができるし、彼女の試練を乗り越える事ができたら、違った方向から競争の激しいファッション業界のことを真面目に理解できると思う。
それに、ただファッションについて教えてくれるんじゃなくて、ファッションを変えるよう押し動かせてくれるんだ。新しいものを探求して、また自分自身を見つけ出して。ただ可愛い服をつくるのではなくて、何か新しくてエキサイティングなもので、ファッションを未来に進める事ができるようにね。
—彼女から、ファッションフォワードに新しいものを追い求めるっていう姿勢も学んだのだね。
そう、すごく衝撃的だったし、この業界でどこへ辿り着きたいのか、気がつく事ができた。
他にも、Totem(Shaun Samsonのプレスを担当するパリのPR会社)のKukiや、Fashion EastのLulu Kennedy、ライターのCharlie Porterも、すごく前からサポートしてくれていて、素晴らしい機会を与えてくれて、本当に感謝しているよ。
でも、デザイナーとして成功するためのことを教えてくれたのは、やっぱりルイーズだね。
—ショーンにとっての、アイコンとかヒーローは誰かいる?
うーん、それは僕の父方のおじいちゃんかもしれないね。もう80歳とかなんだけど、今でもいつもシューズやシャツがマッチしているかとかちゃんと気にしていて、髪型も決まっていて、輝いているんだ。ファッションに歳は関係ないってことを教えてくれるし、本当にかっこいいスタイルを持っている。
そう、それはファッションじゃなくて、スタイルって言った方がいいかもしれない。だから僕のレーベルはファッションレーベルだけど、ヒップホップとかストリートとかアーバンとかの、「スタイル」を見せようとしているんだ。
—今ショーンはこのベスナルグリーンのスタジオで働いていて、オールドストリートのフラットに住んでいて、イーストロンドンをベースに生活しているよね?今でもイーストロンドンのファッションシーン、ファッションキッズはエキサイティングだと思う?僕は3年ほど前にロンドンに来たのだけれど、多くの人はそれよりもっと前のほうが、エキサイティングなファッションパーティも沢山あって、すごくおもしろかったって言ってるから。
今でもエキサイティングと思うよ。新しくないというわけじゃないけれど、イーストロンドンにそういうシーンができてからもう大分たつから、皆不満になっているだけじゃないかな笑。
ロンドンでは、今でもイーストが一番面白いなって僕は感じるよ。サウスに住んでいた事もあるけど、ファッションキッズは少なくて、もっとオーセンティックなアーバンカルチャーって感じだね。
—ショーンのまわりには、おもしろい友人も沢山いると思うけれど、特に誰からインスパイアされる?
僕は素晴らしい人たちと一緒に働いているから、すごくラッキーだと思う。マシューとかロブ(Rob Meyers、アートディレクター)とかね。彼らのテイストを100%信じているし、何がクールかっていうことをよく知っていると思う。
僕はカリフォルニア出身っていう視点からファッションをしているけれど、彼らは今現在シーンに何かが起こっているのか、そして次に何がクールなのかを熟知しているんだ。
—そのマシューとはいつ出会ったの?
セントマーチンにいた頃だね。マシューはウィメンズ、僕はメンズを専攻してて、同じ学年の同じクラスだったんだ。当時は知り合いではあったけど、あまり話したことはなくて。一緒に何かをするようになったのは、卒業した後だね。
—卒業後に、マシューはスタイリストとして、ショーンはデザイナーとして活動するようになって、一緒に働くようになったんだね。
そう。お互いテイストに似た部分があってね。初めてのMANのショーのあと、スタイリストが必要だなと思って、一緒に働くようになったんだ。
—彼はスタイリング以外にも何かしているの?
コンサルティングもしてもらってる。一緒に働いている仲間だから、助けが必要な時はお互い助け合うって感じだね。
例えば僕がデザインを探求していて、どう実際の人にフィットさせればいいか迷ってしまった時、マシューはその方法を知っているんだ。
—他には誰がShaun Samsonチームとして働いているの?
僕がデザインをして、マシューがスタイリングとかをして、ロブがアートディレクターとしてルックブックとかのビジュアルをしてくれていて、LAにはプロダクトマネージャーがいる。あと先月から、お姉ちゃんがビジネス面のことをしてくれているんだ。僕自身忙しくなりすぎたから、ペーパーワークとかライセンシングとか、ビジネス面のことを全てしてくれているんだ。
—じゃぁ今のところ、デザインのアシスタントはいないの?
いないんだよ。僕はカリフォルニアに行ったら2ヶ月とか帰ってこないし、その間アシスタントはすることがないし、難しいんだよね。
時々誰かに作業を手伝ってもらうこともあるけれど、基本的には一人でデザインしているよ。
—僕はショーンのホームタウンのカリフォルニアには行った事がないのだけど、どういうところが魅力的なの?
アティテュード、スタイルだね。本当に、ロンドンに住むのとは全然違うんだ。広くて車がないとどこにも行けないし、人もあまり干渉しない。何処かにいきたければ、自分で車を運転していって、自分のしたいことをして、家に帰る。
ここロンドンでは、いつも交通機関とか人に影響されるよね。カリフォルニアは自分の世界って感じで、僕はそういうイージーなライフスタイルが結構好きなんだ。ここでの生活がストレスって言う訳じゃないのだけど、物事をするのに多くの手間がかかる気がするね。
—今は生産もカリフォルニアでしているんだよね?
そのほうが安いからね笑。SS12 はロンドンでしたのだけど、お金がかかりすぎたから、AW12の商品からカリフォルニアに変えたんだ。
もちろん中国で生産するほど安くはないけれどね笑。今はプロダクトマネージャーもカリフォルニアにいるし、そこで生産してこっちに送る方が、ロンドンでするよりは安いんだ。