Interview

Jenny Fax SS2013 “LOVE” 2/2

愛をテーマにすることは凄く難しい。どんなに計算してやっても“愛”ということを形にすることはなかなかできません

→Jenny Fax SS2013 “LOVE” 1/2

―檻に入ったようなルックもありました。どういう意味が込められていたのでしょうか?

私の兄の話ですが彼は彼女の為に牢屋に入ったことがあるんです。台湾人の男性は軍隊に2年間入らなければいけません。1か月に1度しか休みがないのですがその時には凄く彼女に会いたい。でも18時には戻らなければいけません。兄は18時過ぎてもどうしても彼女といたくて、彼女といたら牢屋に入ってしまったんです。
愛は危険でもあるということ、兄の実体験を基にしています。

―フィナーレは雪が舞っていました。

台湾は雪が降りません。でも結婚式で雪が降ったら凄くロマンティックだと思うのです。自分の中の理想の結婚式をイメージしました。ですので最後は全部ウエディングドレスで真っ白にしたかったんです。
私自身結婚式はしましたがウェディングドレスも着ていませんし、雪も降っていませんでした。
本当は結婚式のときにウェディングドレスを着たい気持ちがあったんです。でも私は着なくて大丈夫と言ってしまった。それで結婚式の時にMIKIOSAKABEのサンプルを着たんです。

コレクション期間中の10月10日制作に凄く忙しくて私は忘れていたのですが結婚記念日でした。でも旦那さんは覚えていてケーキを買ってきてくれました。それは凄く嬉しかったです。
最初のアイデアとしては本当はウェディングドレスではなく旦那さんから結婚する前に旦那さんと付き合っていた頃にもらったラブレターをプリントしたものにしたかったんです。でもそれはNGがでてしまいました(笑)。

―フィナーレに登場したのは理想のウエディングドレスでもあったのでしょうか?

そうではなく愛の象徴として作った5体です。ウェディングケーキやハート、それにブーケ、ウエディングの時ケーキカッティングがありますよねだからナイフもあります。

―1円玉が無数についていた大きなハートのルックにはどんな意味が込められていたのでしょうか?

前に見た映画の中でコンサートに行くシーンがあったのですが彼女は手作りの大きいハートの看板のようなものを持っていました。そこに千円札が貼ってあったんです。その意図はわからなかったのですがアイデアは面白いなと思ったんです。でもあの大きさを全部千円ではったら相当お金がかかってしまいます。予算も足りないですし、色も合わなかったので代わりに1円玉を貼りました。
あのルックには「Can’t Buy Me Love」愛はお金では買えないのよっていうことをメッセージに込めています。

―Say Yesはジェンファンさんにとって理想のウェディングソングなのでしょうか?

理想ではありませんが凄く感動的な歌だと思います。

―ショーをやるにあたって愛について考えましたか?

凄く長い時間をかけて考えました。テーマは前回のショーが終わってからすぐでしたので凄く早い段階で決めました、でも途中はブランクの部分が長かったです。愛をテーマにすることは凄く難しい。どんなに計算してやっても“愛”ということを形にすることはなかなかできません。だからほとんどの服は最後の2,3週間で出来たものです。ぎりぎりまでずっと愛について考えていました。

―ジェンファンさんにとって“Love-愛-“とはなんだったのでしょうか?

愛はロジックではないということです。

―ショーが終わってから生活は変わりましたか?

いつもと変わりません。今回のテーマはLoveでしたがコレクションを作っている最中は本当は旦那さんと大喧嘩していた時期が長かった。自分の中ではブラックジョークみたいな感じでした。テーマはLoveだけどいつも喧嘩ばかり。本当に小言がうるさくて・・・。
1シーズンと考えると6か月ですよね。そのうちの1か月は自分の旦那さんと思って他の5か月は私の社長にしか見えません。

―Jenny Faxもブランド当初よりだいぶ成長してきていると思いますがMIKIO SAKABEとのかかわり方は変わっていないのでしょうか?

それは変わりません。
今でもMIKIO SAKABEが中心です。MIKIO SAKABEがあってのJenny Faxだと思っています。Jenny Faxはサンプルまで全部自分でやっています。

―ではJenny Faxに対する坂部さんのかかわり方とはどういったものなのでしょうか?

最初のアイデアは勿論私が出しますが私自身は理論的な人間ではありませんどう見せたらみんなが分かりやすいか、具体化できるのかというのは坂部を中心に演出家の保科路夫君、映像の山崎連基君と3人が考えてくれています。彼らには凄く感謝しています。

―今回のコレクションをどういう人に着てもらいたいですか?

誰に着てもらいたいとかを考えて服作りはしていません。自分が着たかった服ですので。誰でもいい、どんな人にも着てもらいたいです。若い人だけでなく凄く年上の方も女性はやっぱり可愛いものが好きだと思うんです。
今回のショーに関して言えば特に同年代は凄く共感してくれました。

―前回のショー2012S/Sでは女子中学生を描き、2012A/Wではそこから少し成長した女性を描きました。今回はまた少し年齢が上がりOLでした。次回のコレクションではさらに成長した女性を描いたコレクションになるのでしょうか?

次回はまた戻します(笑)。そのまま年齢があがっていったらJenny Faxはすぐにネタ切れになってしまいますから。

Interview & Text:Masaki Takida, Tomoka Shimogata

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