MARTÍN CHURBA(マルティン・チュルバ)氏が手掛けるアルゼンチン発のアパレルブランドTramando。そのTramandoが今回、ドラムヴォーカリストとしてTVなどのメディアで注目を集めるシシド・カフカ氏をミューズとして起用することとなった。本インタビューでは、コラボレーションに至った経緯や意図など様々両者に伺った。
—今回ミューズに起用するに至った経緯から教えて頂けますか?
シシド・カフカ(以下カフカ):もともと私はMARTÍNに会う前から、恐らく3年前くらいからだと思いますが、Tramandoのことがずっと好きでよく着させて頂いていました。Tramandoの服の色味であったり、肌触りであったりといったデザインのディティールが頭から離れなくなってしまって。よくラフォーレのミカン(ミカン アッシュ・ペー・フランス エクスクルーシヴ ラフォーレ原宿) にも通っていました。実際購入して着用するとそこでまた色々な発見がありました。着こなし方も幾通りもありますし、テキスタイルに特徴のあるブランドなのでフォルムの質感、色合いでコーディネートに違いをみせられることも。気づけばプライベートで「ここぞ」という勝負の時には必ずTramandoを着ていました。
その後、TV番組に出演したときにH.P.FRANCEのディレクターである竹本祐三子さんが偶然見てくださっていて。そこからご連絡を頂いて今に至るといった形です。本当に嬉しかったですし、びっくりしました。
MARTÍN CHURBA(以下M):多くのアーティストとコラボしてきました。そのコラボレーションを通して自身のクリエーションの幅を広げているという意味で非常に重要な取り組みになっています。実はアルゼンチンでもドラマーのドロミナ・ダンジェラさんをミューズとして一緒に仕事をさせて頂いております。その子も前髪をパッツンに作って、カフカさんに非常に似ているんですね。私の仕事は女性のドレスアップを手伝うことですので、ミュージシャンやアーティストの方のパフォーマンスを衣装という形でサポートする仕事をするということは、その仕事の中でも最上級の幸せな事だと思っています。
—他にもミューズがいらっしゃるのですね。日本人の採用は今まであったのですか?
M:今回のカフカさんが初めてになります。自分にインスピレーションを与えてくれるアーティストの方を採用したいとずっと思っていたのですが、なかなか巡り会えませんでした。しかし今回カフカさんに会って、衝撃が走ったというか、是非コラボレーションして一緒にいい物を作っていきたいなと。
そして今の私の夢はそのアルゼンチンのロミナさんとカフカさんの競演を実現させることですね。
—カフカさんもアルゼンチンに住まれていたのですよね?そのころからTramandoのことは知っていたのですか?
カフカ:住んではいましたが、そのころは知りませんでした。当時私は中学生だったので。
—2013 S/Sコレクションはカフカさんが参加する前のコレクションになるのですか?
M:2013 S/Sコレクションを制作していて、折り返し地点のところでカフカさんと出会いました。そのためまだ0の地点から一緒に仕事をするということには至っていません。ただ今回のコレクションのショーピースが20点ほどあるのですが、それについてカフカさんのことを思い浮かべながら制作することができました。
—ではカフカさんを採用する事で何かクリエーションに違いは見られましたか?
M:ミューズとなる女性と出会うことで、コレクションで発表する服に直接影響を与えるというよりは、彼女らによって私自身の方向性を定めてくれるという所が一番大きなところです。安直にカフカさんに似合う物をということではなく、もっと奥深くのところで影響を与えてくださっています。
—カフカさんをショーモデルとしても採用する予定なのですか?
M:彼女がオーケーならば勿論私は喜んでお願いしたいですが。(笑)
何より彼女のクリエーションをみせてもらいたいという思いが強いので、もしステージで競演が実現するならば、ショーモデルというよりはアーティストとしてステージで彼女の演奏をパフォームしてもらいたいです。
カフカ:マルティンが言うのであればアルゼンチンでもどこでも行きます。(笑)
—カフカさんのCDデビュー曲「愛する覚悟」のジャケットの衣装もTramandoなのですか?
カフカ:いえこれは違います。プロモーションビデオの中ではTramandoの服を着させて頂いています。PVの中ではTramandoの今までのアーカイブを自由に選ばせて頂いて。
—逆にカフカさんがTramandoとコラボすることで音楽制作に影響を受けたという事はありますか?
カフカ:私に今一番足りないものが自信を持つ事だと自己分析していて。その中でTramandoを着る事で強くなれたり、自信を持つきっかけを与えてくれていたりと、私自身の活動にとっても歯車のようなところがあると思っています。
—カフカさんから何かTramandoに対して要望や提案などはありますか?
カフカ:以前から思っていたのですが、是非マルティンに私のドラムに絵を描いてほしいなって。彼はプリントが得意なデザイナーということもありますし、いつかドラムに着せる服なんてものも作って貰えたら嬉しいですね。(笑)
—では最後にマルティンさんの今後の展望について教えてください。
M:カフカさんと出会ったように、こうした出会いを通じて、お互いにメッセージを読み合い、未来を一緒に創造していくということを今後追求していきたいと思っています。