Interview

Yukiko Yuzawa / CONCENTO PARIS H.P.FRANCE 4/4

やっぱり美しい物を見るにつきると思います。美しいものを見ないで、ただコンビニでおにぎりを買い、それだけでクリエイションをしてしまうと小さく固まってしまう。生活すること自体がクリエイションになり得ると思います

→Yukiko Yuzawa / CONCENTO PARIS H.P.FRANCE 1/4
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→Yukiko Yuzawa / CONCENTO PARIS H.P.FRANCE 3/4

―CONCENTOで扱っているブランドは難しい商材と言うのをご自身でも認識してらっしゃるんですね。

そうですね。簡単ではないと思います。それは認識していますがそれを苦労してでも売っていけると思っているのでバイイングしているのです。それに私自身がその洋服を着たいということも重要です。
今は簡単に売れる時代ではないですので売るということはエネルギーがいることです。昔のように豊かな時代では無くなりましたので好きだからすぐに買うということはなくなりました。日本が凄く経済的に大変になっているので凄くシビアになってきています。こっちも相当な情熱を持って接しなければ駄目ですけどちゃんと響くところには響いています。

例えばMIKIO SAKABEをなんでとっているのって言われることも多いんです。でもパリの展示会で見た時に瞬間的に、彼の作品は日本の学芸会的なものとは違うものをもっていると感じたからとっているんです。私は彼の作品は凄く面白いと思うんです。

―ではその難しい商材を売る為の秘訣はなんですか?

やっぱり人も重要ですし、それを売る為のプレゼンテーションが重要だと思っています。スタッフにそれをちゃんと理解してもらえるように日本に帰国した際はとにかく売り場に立つようにしています。お客様の動きや、どういう風にものが売れていくかをちゃんと見なければいけません。パリに19年住んでいますが年間6回帰って来ていますし、(帰国した際には)いつも売り場に居ますので感覚が日本にいたころと変わるということはないと思います。私自身生粋の浪花節の日本人だと思っていますから。私はパリに住んでいますが一人一人のスタッフの事もちゃんと理解しないといけません。

―いわゆるメインストリームのブランドのブランドではなくそういった若手やアンダーグラウンドなブランドに目を向ける理由はなんでしょうか?

自分もディオールというパリモードを代表するブランドにいたからこそ新しい芽に目を向けていこうと思うのです。そういった新しい物を自分で見つけていく楽しさもあるんです。
面白いもの、デザイナーの情熱があるもの、そういったものを私は紹介していきたいんです。

―スタッフに対してブランドの説明会のようなこともされるんですか?

50ブランドも扱っていますのでそれぞれのシーズンのテーマをマッピングしてそれを説明します。
トレンドを意識することはありませんがなんとなく時代を感じ、最後にマッピングしています。

―毎シーズンカタログも制作されています。スタイリングも自分でされていますよね。

販売促進もかねてお客様に次のイメージを伝える為に作っています。物を見ないで絵で書いてスタイリングしてそれを具現化するんです。家の廊下に並べてバッティングしないように。

―パリと東京のモードは何が違うと思いますか?

全然違うと思います。パリは凄く大人の街なので良いと思った物がたとえ排他的でも受け入れる懐の深さがファッションに関してはあります。外国人だとしても良いと思われれば中に入っていける。
プロの目でよければ拍手するし、人の目を見ていてもそういうのがあからさまに伝わってきますよね。逆につまらないと携帯をいじっていたりもしますが。

―ヨーロッパは日本と違い会場に歴史的な場所が使えたりする。やはり会場が良いというのは凄くプラスに感じます。

教会だったり歴史的なところが使える。雰囲気は凄く大事です。政府からしっかりお金が出ていますし。
会場ではマルタンマルジェラが2カ所で黒と白のコレクションをやった時が凄く印象に残っています。
やはり会場が良くなければ服もよく見えません。会場もクリエイションの一つだと思うのです。フランスはファッションを産業の一つとして応援していますからそういった面でも日本との違いは大きいと思います。

―では東京コレクションは何が足りないと思いますか?

それほど見ていませんので詳しいことはわかりませんがデザイナーさんが内にこもってクリエイションをしているようにしか見えないのです
日本の職人さんのがもの作りの力は勿論素晴らしいのですがプラス色気とか出す為にはクリエイターがそこを伝えていかなければいけないと思うのです。いくら手が込んで凄いんですと言われてもそれが伝わらないと意味がありません。日本のもの作りは商品が平面で出来ています。説明なしに、瞬間に良さが伝わものが少ないと思うのです。

―今注目している都市はありますか?

オリンピックが行われることもありロンドンは今年盛り上がっていますし、みんなが今ロンドンに出張に行っていると思います。
社会情勢とファッションって一致していますから景気が良いとファッションが元気になるというところだと思います。あとはブリティッシュファッションカウンシルが凄く力を入れていてご招待で色んな人を集めています。その結果としてブランドが買い付けされたというのも大きいと思います。
クリストファーケーン(Christopher Kane)が出る以前はロンドンの若手ブランドは見向きもされませんでしたが彼のクリエイションはすぐにParis Vogueにもとりいれられました。マリオスシュワブ(Marios Schwab)もそうですし彼らが二大双璧となって出て来たのが大きいと思います。

―ファッションセンスを磨く為にはどうすればよいのでしょうか?

やっぱり美しい物を見るにつきると思います。絵でも食べ物でも、何でも良いのですが常に良いものを見ていかないといけないと思います。たとえばフランス料理のプレゼンテーションの美しさ、それにお茶も素晴らしいですし。美しいものを見ないで、ただコンビニでおにぎりを買い、それだけでクリエイションをしてしまうと小さく固まってしまう。生活すること自体がクリエイションになり得ると思います。

それに海外に出てみることで文化の違いとかも感じ取って欲しいですし、もっと世界を見て欲しい。フランスは不況ですが揺るぎない強さがそこにはある気がします。ファッションもそうですし、食もそうですし、変わらない美しさが存在しています。
でも日本は帰ってくる度に危ないなと思ってしまいます。要素はあるんですけどファッションが文化として扱われていない気がするのです。フランスではファッションは産業であり文化なのです。

Interview & Text:Masaki Takida

CONCENTO PARIS H.P.FRANCE / コンセント パリ アッシュ・ペー・フランス

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