Interview

SAYAKA MARUYAMA 2/4

自然界にない色をわざと乗せるのが好きで、色や質感にはこだわっています。異空間のようになるのと、そこにある被写体が普通にしてても色が変わっているだけで異質な印象を与える

→SAYAKA MARUYAMA 1/4

―映像と写真両方やられていますが写真と映像の大きな違いってどこにあると思いますか?

映像は時間の経過によるイメージの変化が見せられる。
写真は一瞬を印象的に切り取っている写真家の眼が浮き上がってくる。
映像は写真と違い 音が乗せられるから、視覚と聴覚両方から訴えられますね。
より世界感が伝わりやすいのかと思います。

―ストーリー性とかですか?

ストーリー性もありますね。あとは、動いているか、動いていないかが決定的に違います(笑)。
写真だけでは物足りない。
ポートレートや組み写真もありますけど、今回そういったものではないなと思った場合、映像にいきます。写真よりも映像はもう少し幅が広いのかな。ミュージシャンとか、その分巻き込む人も多いです。
例えばミュージシャンと何か一緒にやろうという入り方もあるので、そうすると必然的に映像になるということもありますね。

―曲選びは映像を作る前ですか、後ですか?

基本は映像から入ってそれに合った音楽を探しますが、音楽があってそれに合わせて作る場合と両方あります。無音で動的なものを繋いでいくのは長さも決められないし、いつ終わるのか分からないから、音楽がないと映像ってすごく作りづらい所もあります。
だけど2つのバランスを取ります。映像は大体5分くらいがいいとか、その長さに合った出来物の音をつける時もあるし、頼む時もあります。
あとは「THE STARLESS NIGHT」(2010)にあるWendy Bevanは彼女の歌があってそれにPVみたいに作ったので、場合によります。

―自然光ではなくネオンの光が乗せられている写真が多いと思いますがそれは何故ですか?

ケミカルな感じが好きなんです。自然界にない色をわざと乗せるのが好きで、色や質感には結構こだわっています。異空間のようになるのと、そこにある被写体が普通にしてても色が変わっているだけで異質な印象を与える。非現実的な感じに仕上げたいんです。

―森の中で撮影されている作品も多いのかなと思います。

自然からインスピレーションをもらえるので、自然光でロケで撮るのがすごく好きです。天気とか、コントロールできないけど 自然に逆らわずに、それを感じて感覚的に撮れるのがいい。自然の中で撮るとすごく気持ちが良いからのびのびとやれるし、開放的な気分になれる。作る時のプロセスとして、狭い部屋で撮っているのとは違った空気を感じながら作るというのが楽しいからやっています。

ロンドンなので天候が悪いので室内のことも多いんですけど、それだけだと閉鎖的な作品になってしまいそうな場合、自然のモチーフを借りて広げていますね。
本当は川に女性を浮かべて撮る撮影をやりたかったんですけど、なかなか季節が来ないのと裸とかで川に浮いてくれる女性がいない。だからまだそれは出来ていないけれど、ゆくゆくはUnder Water、水中の撮影は絶対やりたいですね。

―ファッション誌のヴィジュアルと個人の作品では撮る視点が違いますか?

違うと思いますね。見る人のことを若干考えつつ、意識して作るのがファッションのほうです。人から見ると少しtoo muchというか、結構あくが強いし自分の自己表現を100%すると絶対行き過ぎると思うので、 それを抑えるようにします。
自分の中である程度の制限をかけるのと、求められているものを感覚的に少し取り入れます。大体これくらいというさじ加減で変えます。

―今までで刺激的だった作品は何ですか?

1番思い入れがあるのは「DEJA VU」ですかね。衣装も全部考えたり、制作時間も長くて5ヶ月くらいかかりました。キャスティング、モデルを探すのも、いつもだったらそんなにこだわらなくても大体綺麗な人が来るので、エージェンシーからモデルを借りて撮っているんですけど、これに関してはピンと来る人が現れるまでは撮れなかったんです。
でもその時にすごく良いタイミングで人が集まってくれました。それがすごい不思議な感覚でよかったと思います。今だから出来たなという感じですね。パフォーマンスもしたし、達成感があって、いい意味でちょっと疲れました(笑)

―どんなモチーフを扱うか等は、毎回河野氏(Tomihiro Kono)と考えや世界観を共有してから決めるんですか?

ある程度成り行きも含めて、自然な流れでやっていくところはあります。河野とやるとお互いにお互いの思いつきも入れつつ、その中でどんどん道が出来ていく感じがありますね。
だから最初からこれとこれとこれでこういうキャラクターを作ると決めて、その通りに行かなくてもその変化が良かったりもします。良い具合にコスチューム素材を使うなど、何を使うかは自然に決まりますね。
多分、他の人だと難しいと思います。誰とでもそういう風に出来るかって言ったら違うと思います。

―作品の作り方は被写体を先に決めるというわけではなく、先にコンセプトを決めるということですか。

最初にコンセプトは決めません。素材から入る場合やその時にポッと作った小さいものから始まったりすることが多いですかね。
それがヘッドピースだったり、例えば”写真集のこのイメージがすごい好き”という所からのインスピレーションもあります。映画や音楽もそうなんですけど、影響は色々な所からあります。ヴィジュアルは基本的に手を動かしながら出てきます。

ロンドンに行った時は、ヘッドピースを作っていてそこから生み出すことが多かったですね。ヘッドピース自体が完全に日常に必要ないものというか、不思議なものじゃないですか。装飾的で演劇的な所があるので、演劇的なキャラクターというのが出来上がったのが自然な流れです。
その当時、他にやっている人がいなかったので周りの反応も良かった。河野が素材を集めるのが上手いので、そこからヒントを得て形を作っていく時に私もアイディアを出したり、手を動かして徐々にイメージが出てきます。
じゃあ写真を撮らなきゃってなった時に自ずとモデルがいるとか、その必要性が出てきます。映像も作りたいとなったらミュージシャンがいる、モデルがもっといる、アシスタントがいるとか、そういう流れに合わせて人を呼び込んでいきます。

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