Interview

Alain Mikli 「見るための、そして見られるためのメガネ」

2011年10月15日、Alain Mikliのニューコンセプトショップが阪急MEN’S TOKYOにオープンした。都内で5店舗目となるこのコンセプトショップは「メンズコンセプト」の基、new チタンコレクション、スタイリストの祐真朋樹氏とのコラボ商品も発表された。
1978 年以来、アイウェアーのパイオニアとして審美性と機能性、デザインと技術を調和させたメガネを提案し続け、欠点をカバーするだけでなく、個性を引き出し、イメージを変える力を持つ小物として、またかける人のファッションやライフスタイルまでもデザインし続けているAlain Mikli。
阪急MEN’S TOKYOのオープンに合わせて来日していたアラン・ミクリ氏に話を聞いた。

Tomoki Sukezane×alain mikli

―「見るための、そして見られるためのメガネ」をブランドのコンセプトにされていますが、これについて詳しくご説明いただけますか?

私が会社を立ち上げる以前はメガネというのは医学的なものが主流で、その状況をおもしろくないと思っていました。そこでこのブランドを設立しました。メガネというのは見るためのものではありますけど、見られるものでもあるわけで、アクセサリーの概念として定着していなかった当時の価値観を変えたいという思いを強くもっており、それを形にしました。

―アラン ミクリで人気のアイテム、また定番のアイテムなどはありますか?

私は皆様には同じものを付けてほしくないという思いがありますので、売れ筋のアイテムが出たらその場で生産を打ち切るようにしています。それを経て次の制作、ストーリーに移っていきます。ユニホーム的な発想は好きではないので、そういうものは作らないようにし、常に新しいことに取り組んでいくことを大切にしています。常に新しいことに挑戦してきた結果、今もこうしてブランドが存続しているのだと私自身は考えています。

new TITANIUM collection

―先日発表された新コレクション『new TITANIUM collection』は日本の技術を使っています。これを生み出すまでの経緯を教えてください。

今回のnew TITANIUM collectionはメイドインジャパンでデザインチームも日本の方に協力して頂くという今までにない試みです。制作も日本ですし、工場は福井でお願いし、販売も基本的には日本だけで展開していこうと考えています。私の場合はより多くの方にという販売精神はなく、この日本のマーケットのためだけに作ったnew TITANIUM collectionを日本の方に付けていただければという思いで作りました。

―デザインも日本人の顔に合わせて作られているのですか?

そこに特に注力して作ったコレクションです。とは言え日本のメーカーが作るものとも違うと思います。あくまでフランスのブランドとしてパリの味を出し、2つの文化の融合をさせたようなアイテムに仕上がっていると思います。

―2010年10月に有楽町にオープンした阪急MEN’S TOKYOでは新コレクションも発売され、実際に店頭に立たれて直にお客様と接する機会があったようですが反応などはどうでしたか

皆さんエキサイトしてくれて大変盛り上がっていました。商品に対する反応はまだよくわからないのでもう少し分析が必要だと思います。今回のものは個人的にもすごく好きですし、自信もあるので大丈夫だとは思っていますが。

―店舗内装も手掛ける建築家、プロダクトデザイナーのPhilippe Starck氏とのコラボレーションライン「starck eyes」がありますが彼と追求し確立した眼鏡の新しいコンセプト「バイオビジョン」について詳しくお聞かせください。

元の発想は「体の延長」からきており体、骨を細かく観察してそれをメガネに反映させることがバイオビジョンの意味です。ヒンジ(蝶番)の部分がアイウェアーでは非常に大事パーツで、面の機能を担う箇所になります。その部分を年々改善していき、常に新たな技術で機能性の向上を志向しています。「メガネを体の一部とする」ことがコンセプトであるので、Alain Mikliとは違い、顔に溶け込むようなデザインを重要視し設計しています。顔に消えて目立たないような、そういうものをスタルクアイズでは表現しています。先ほどの質問に戻りますがAlain Mikliと違いstarck eyesは継続的なもの作りを行なっており、10年前のものも継続して作っています。

―全ての店舗でStarck氏が店舗設計を担っているようですが、世界観を作る上でやはり重要なことなのでしょうか?

彼とは長い関係で以心伝心している間柄なので、自然とそうなってしまいます。彼に全て任せるということではなくコンセプトを基にチームがアレンジしたりもしています。実は来年2月にパリに新しいブティックがオープンするのですがそこでも彼の新しいコンセプトを起用することにしています。

―アラン ミクリに見られる「美しく機能的なフォルム」の発想源は何でしょうか。

とても難しい質問ですね。アーティストとのコラボレーションなど違うラインが様々あり、その中で色々とそのプロジェクトに合うようにデザインはしています。コラボレーションラインでは共通点を挙げるとすれば、最初にアイディアを提示し、それを一貫して押し通すことです。

―アラン ミクリの特徴としては色使いも挙げられると思いますがそれは意識されているのでしょうか

starck eyesは基本モノトーンですが、Alain Mikliは確かにカラーを大事にしていて、それをテーマの一つにもしています。

―アイウェアーを選ぶポイントのようなものはありますか?

特にこれといったルールはないのですが、商品に対してあまりコンプレックスを持たないことが重要です。派手なものでも恥ずかしがらない、そういうスタンスがあれば大丈夫だと思います。特に日本の方は世界の他の国と比較しても派手なものをかけることに抵抗が少ないので、非常にいいことだと私は思っています。日本はもしかするとアイウェアーの取り入れ方が世界的にみても一番特徴的な国だと思いますね。

―ブランドをはじめて30年以上経ちましたが当初と変わらない点と変わった点を教えて頂けますか?

大きく変わったのは消費者ですね。以前に比べて情報量が増えたということでたくさんの知識を持っています。あとは価格競争です。洋服と比べても価格競争が激しい業界になってしまいました。それには非常に残念な思いがあります。逆に変わっていないのは販路、つまり街にある眼鏡屋さんですね。未だ世界的にみてもファッション性を持つ店舗が少ないという印象を抱いています。

―最後に若い世代の方にメッセージをお願いします。

年配の言うことを聞かないことですね(笑)。世の中にはおかしなこともたくさんあるので、それらを無視して自分の青春を満喫してほしいと思います。

Interview & Text:Fumiya Yoshinouchi, Masaki Takida

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Alain mikli (アラン・ミクリ)
1978年以来、メガネのパイオニアとして審美性と機能性、デザインと技術を調和させたメガネを提案し続けている。
欠点をカバーするだけでなく、個性を引き出し、イメージを変える力を持つ小物として。
また、かける人のファッションやライフスタイルまでもデザインしている。
HP:http://www.mikli.jp/

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