Interview

エアーファッション?フリーメイソン?writtenafterwardsのショーを業界関係者はどう捉えたか vol.2

ファッションショーを見る側から見られる側へ発想の転換を図ったwrittenafterwardsのコレクションに関しての業界関係者からのコメント、第2回目は自身もVACANTで6月にコレクションを発表するPOTTO山本氏、MIKIO SAKABEの坂部氏、JENNY FAXのジェンファン氏、TARZANKICKの森田氏、ハイファッションの西谷氏の5名に話を聞いた。

→エアーファッション?フリーメイソン?writtenafterwardsのショーを業界関係者はどう捉えたか
→writtenafterwards 2012 S/S Collection

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色々な見方があると思うが、
同じく洋服を作って発表する、
または洋服を作って生きてる者として言わせてもらうと、
全然面白いと思えなかった。
本当の事を言ってごめん、山縣君。

僕は、生地と針と糸、それからはさみがあれば
洋服を作れるということを自分なりに覚えてきた。
なにか作った物をどうゆう手段にせよ発表していきたい、と思っている。
彼は技術なんてものははじめから誰かに任せて、
プレゼンテーション、要はどうやって魅せるか、に重点をおいているようだ。
それでも胸に残る何かや、
気持ちいいセンスが感じられたらそれはそれで感動するし感謝するけど、残念ながらそれも感じなかった。
見せ方というけど、それは見せかけでしかない、そう感じてしまう。

そして若い世代にもそれをファッション教育という名で正当化して、
またそれを鵜呑みにしてしまう人がいるのも怖い傾向だなと思ってる。
もっと大切な事は沢山ある、僕はそう思ってる。
作りたい衝動や、根っこの部分は教えてもらう事じゃない、影響されるんだ。

作りたい気持ちになったらそれがどうやったらできるのかを自分で勉強して、
それでも足りない部分は学べばいい。たくさん真似をすればいい。
何かを作りたいと思えるかどうかが重要で、コンテストで受賞するには~とか、今の時代はこうだからそれをどう表現するか~とか、
、コンセプトが~テーマが~とか….そんなデザイナーや作家やアーティストの考えなんて聞きたくもない。
下手でも汚くても何でも良いので自分の手で作ったものがみたい。

場を作るとか、みるもの見られるものの逆転とか、ファッションということを表現云々、、、
色々あるかもしれないが、
それは新しいことでもなく(新しいことをやろうとしてないかもしれないけど)、
山縣君がやったような事がもし本気で新しいというなら、
ファッション業界が遅れているとしか言いようがない。
デュシャンや、ジョンケージや、ボイスは有名だけど、それだって、ものすごくきちんと絵が描けたり、作曲ができたり、物を作れる人が
やるから意味があって成立する事で、そこに至るまでの過程というものに本質があると思っている。

便器や図面や沈黙からスタートしても仕方がない。

実際作れるかどうかや、自分で作る事だけに価値があるわけではないのは分かるけど、初めから
その部分をないがしろにして、テーマやコンセプト、ファッション云々と言うのは
平和ボケに見えてしまう。
反骨精神などというものは全くないんだな、と思う。

またこれをメディアが取り上げて、褒めるのか?と考えると正直気が滅入ってくる。

ただ、いつも感心するのは過剰とも思えるほどの演出。
子供がつたない感じで喋ったり、そういうのが好きな人も多いのかとも思う。

舞台の入り口に花森安治の一銭五厘の旗をニットで作って掲げてあったのは、良かったけど、
それも、フリーメーソン、ロスチャイルド、金融資本主義、、、の文脈で、
その対抗する象徴として、ただそのためだけのプレゼンテーションに
使っているのだとしたら、実践がなく、何だが後味が悪かった。
が、そこのところどうなんだろうか?

色々と思っている事を書いてしまったが、もちろん彼のこれからにも期待しているし、注目している。

とにかくうまく言葉で伝えられないから、やっぱり僕は作るしかない、
3.11後の今、より一層そう思う。

山本哲也 / POTTO

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it’s more like going an amusement park which has little baby stage ; and call it fashion show.

the idea itself and the story he made was fun.

小さなステージがあり、それをファッションショーと呼ぶだけでまるでテーマパークに行ったような感覚でした。
彼が作ったアイデアそのものとストーリーは楽しかったです。

シュエ・ジェンファン / JENNY FAX・MIKIO SAKABE

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友人に呼ばれて見に行ったのですがデザイナーとして誰にでも考えつくような安易でつまらないショーだったと思います。ショーでもなく、茶番なのかなとも思いました。お洒落ではなく薄いところにあるもののような。例えると関西風うどん味のだしがないものみたいな感覚だと思います。

森田文明 / TARZANKICK

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今回のリトゥンアフターワーズの
ショーを見てというか体感して 第一印象は
’楽しい’でした。
体験型エンターテイメントであったし、
新しい服の作品そのものがなくファッションの空気を体感する
という試みは
個人的にとても興味がありました。
それは一番難しいお題の一つだし、
ある意味リトゥンアフターワーズがする
究極のクリエーションにも思えます。
だからこそ とても難しかったのではないでしょうか。
一番 気になってしまったのが
かわいい天使がこれでもかと出てくるところと
おみやげがあったりするところとかで、
僕の印象的には 今回のイメージする方向には
この手のものはないほうがよかったかなと思いました。
もちろんおもてなしはとても大事ですが
怒られないためのバリケードをつくってる感じにはなってはいけなかなーと。
あんな孤立した感覚の世界を作っていて
価値観も何もかもそこにしかないルールの部屋のような
設定だったからなおさら かれの作ったおもてなしが 
逆に現実に引き戻されてしまった瞬間でした。

いいテーマ 深い内容なだけに
危険も付きまとうしセーフティーに保険をかけたく
なる気持ちはとてもよくわかりますが、、、、よしくんらしいしね。

もっと期待してしまいます。
ただ内容が内容なだけにこのテーマで完全なショーが
できてしまうと最終回みたいな気になりそうです。

補足として今回今までに使っていた 雰囲気の人たちが出てきたり
そこにリンクしているものが出てきていることに
突っ込んでいる人もいましたが
それはとても浅はかな意見です。そしてもしそこが引っ掛かりすぎているのなら
クリエーションの本質は見えなくなるし
そのような人ほど 従来のファッションルールにとらわれすぎてしまっているのではないでしょうか?
writtenafterwardsはそもそも物語的な要素が深く関わっていて
そこは違ったベクトルで見てもいいかなと思います。

 これからもいろいろと楽しみですし、
東京では間違いなく一番クリエーティブなデザイナーの一人
だと思ってます。

坂部 三樹郎 / MIKIO SAKABE

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リトゥンアフターワーズの5月5日のショー、もしくは儀式は、コメントしたくなる要素をたくさん備えたショーだった。
おそらく、これはファッションショーか?という疑問が見終わっただれの頭にも残ったことだろう。ファッションショーが、新作の服を見せ、評価され、購入を誘うための装置、と定義すれば、売るための服が一着も出て来ないショーは、ショーの形を取っていても、ファッションショーではない。しかし、『ファッション』を見せるためのショーととらえると、あれほど『ファッション』に満ちたショーも少ないと言える。では、あそこで見せられた『ファッション』とはなにかと言えば、それは、装いたいという欲望であり、停滞しているファッションシステムそのものだ。
あの大がかりで、凝った仕掛けに隠されていたのは、今出回っているファッション(というイメージ)への反論であり、ジャーナリスティックな批評だと思う。
リトゥンのショーを作るにあたって、デザイナーの恣意は一見見えない。ショーを見に集まった人たちへは、あらかじめforever fashionというドレスコードが設定され、みな、それぞれ規制のない思い思いの服装をしてきたが、これが、ストリートスナップほどおもしろくなくても、それは東京の現実だし、愉快な動きをする人がいれば、それも、東京の一面だ。何を見せるかよりも、どう見せるかに圧倒的なおもしろさのあるリトゥンアフターワーズは、願わくば、服の製作にエネルギーを使うよりも、アートでいえば島袋道浩のような作風をさらに進化させてほしいと願っている。

西谷真理子 / ハイファッション・オンライン チーフエディター

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