「自分のことを求めている人をどれだけ探すことが出来、そこで共感者を生むことが出来るか、なんであれ自分らしくコミュニケート出来る環境を作る事が大切」
―これからの時代に求められるデザイナー像とは10年前とは全然違いますよね。どうあるべきだと思いますか
坂部:作品と技術だけではない一番の部分というのはコミュニティを作ることだと思います。
―コミュニケーション能力も確実に必要とされてきますね
坂部:それは勿論必要とされてきますね。コミュニティを作るにはコミュニケーションが必要だけどコミュニティがあるデザイナーは勝てる。服自体を作っているのでは駄目というのはもっと浮き彫りにされてくる。
山縣:Suzy Menkes (Internationl Herald Tribune)がこれからはtwitterとかで言語から流行は作られると言ってましたよね。言語的なコミュニケーション能力で新しいデザイナーが出てくる時代で「ネオコンセプチュアル」なデザイナーが出てくると思います。
坂部:エアーデザイナーはどんどん出てきますね。服は今一でもtwitterでのコミュニケーションがうまく出来れば良いという。「俺は凄い服を作った」、「こんなに凄いんだ」というのをどれだけ広められるかで実はTシャツだったみたいのでも神がかり的なことが起こることもあり得る。
山縣:どういう形であれみんなが「凄い」と思ったらそれが千人になり一万人になる。作品が凄くなくても人数が増えれば凄くなる。それが流行だから。
坂部:流行そのものがエアーでも出来る時代になっている。
―西山君はtwitterやっていますか
西山:やりたいとは思っています。
坂部:彼はコミュニケーション能力が高くないからその部分は努力した方が良いかもしれない。自分なりの特化した部分を出さないと良い服を作っているだけでは勝つことが出来ない。
山縣:自分のことを求めている人をどれだけ探すことが出来、そこで共感者を生むことが出来るか、なんであれ自分らしくコミュニケート出来る環境を作る事が大切。他の人はtwitterやったりブログをやったりしている。勿論展示会することもその延長線上にあるんだけど。
―理想とする男性像、どんな男性に着てもらいたいかはありますか
西山:ダンディズムというか渋い人が好きです。フォーマルとか好きなのでサラリーマンのスーツを今回もイメージにしました。
―自分でそういった格好をすることもありますか
西山:ブラックフォーマルをすることはあります。
―普段はどういうブランドを好んで着ているのですか
西山:Mihaya YasuhiroやJuliusが好きです。Rick OwensやDamir Domaも好きですが高くて買ったことはありません。
―レディースで好きなブランドはありますか
西山:特に無いですね。
―買い物はどういうところでされるんですか
西山:L.H.Pによく行きます。洋服はセールでしかほとんど買いません。自分で服を作ることもありますし、ITSの作品も自分で何着か着ようと思っているものもあります。
―好きなお店はありますか
西山:特に無いです。調べたりもしないのでお店自体を知らないんです。
―好きな雑誌はありますか
西山:好きな雑誌はないですね。コレクションが載っていたら買おうとは思いますけど。
―今回のコレクション、それぞれのピース毎にテーマはあったのですか
西山:のりとしては大体同じなんですが一番最初に作ったのは自分で着ようと思って作りました。ただ作りたい物を作っただけなんです。
―モンスターハンターとサラリーマンはテーマにあったわけですよね
西山:はい。フォーマルなジャケットにモンスターのアイテムがついているというだけなんです。ショーでの見せ方はボリュームの少ないモノからどんどんボリュームのあるものにしていきました。
―サラリーマンがどんどんモンスター化していく、モンスターに喰われていくというものですか
西山:それは意識していないんですが客観的に見たらそう見えると思います。ヴォリュームを増やしていったらエスカレートしていき、最終的にそうなったんです。
坂部:モンスターハンターをテーマにしているけど普段の生活の中でゲームは重要な役割を占めているの?
西山:ほとんどゲームはやりません。
―モンスターハンターに夢中だったからそれがテーマになったのではないのですか
西山:モンスターが好きだったからです。だから実はモンスターハンターは一度もやったことがないです。
坂部:普段の生活とクリエイションは絶対関係しているはず。どういう生活をしているの?
西山:学校に通っていた時からモノ作りをずっとしていました。あまり外にも出ません。
坂部:遊びにはどこに行くの?
西山:遊びに行かないですね。
坂部:テレビは見るの?
西山:テレビは見ますけど何もしないですね。ウェブもあまり見ないですし。映画もあまり見ません。モノ作り以外ほとんど何もしてきませんでした。
続く
Photo©Giovanni Giannoni