2009年に大学を卒業した一人のデザイナーはLADY GAGAの着用により一躍注目を集めることに。ブランド設立から僅か半年足らずで様々な雑誌に取り上げられオーストリアのウイーンで行われたRingstrassen Galerie Designer Awardに参加するなど活動の幅を広げる若きデザイナーARA JOにインタビューした。
―あなた自身とブランドの背景を教えてください
私の名前はAra Joです。2009年にセントマーチンズのウイメンズウェアー学科を卒業しロンドンをベースにデザイナーをしています。私のコレクションは着ることにより自信に充ち溢れ、女性としての本能が剥き出しになる、そのような人達の為の洋服です。これまでにLady GaGa, Jamelia, Leona Lewisなどに着てもらいました。
―ブランド設立までの経緯を教えてください
セントマーチンズを卒業してからすぐにブランドを設立するということは考えていませんでした。しかしLady Gagaが私の洋服を着てからは何もかもが変わったのです。それまでは私はデザインをし、ファッションの分野にいる色んな人とコラボレーションし続けたいと思っていただけなのです。
―ファッションに触れたきっかけはなんですか
私が13歳のとき あるファッション雑誌を読んでいて、その時に「デザインをしたい、洋服を作りたい」って思ったんです。それをただ“着たい”だけじゃなく実際にそれを“作りたい”って思ったんです。そこからファッションに魅了されました。
―セントラルセントマーチンズのことを聞かせてください。そこで勉強するのはどのような経験だったのですか。またどのようにクリエイションが成長していったのでしょうか
John GallianoやAlexander McQueen, Hussein Chalayan, Stella McCartneyなどの偉大なデザイナー達と同じような軌跡を辿ることが出来るのは素晴らしいことです。セントマーチンズはファッションへの情熱、創造力を肌身に感じることが出来ます。
またとても競合の激しい場所です。セントマーチンズでファッションを学びたいという人達は世界中からやってくるのです。そこで生き残りたいのであれば自身の望むことにクリエイティブで精力的にならなければいけません。それこそが私がセントマーチンズを選んだ理由なのです。とても競争が激しい場所ですがとても楽しくもありました。
―Lady Gagaに作品を提供するという経験はどうでしたか
ファッションのフィールドに入る上での最高の一歩となりました。そのおかげで私のことを知っている人との最初の会話は常にLady GaGaの話題となりました。
彼女が私のコレクションを着てくれるなんて考えたこともありませんでした。彼女が私の作品を着て以来私は彼女からたくさんインスピレーションをもらっています。そして何度でも私の作品を着て欲しいと思っています。
―あなたのデザイン哲学はなんですか
私のコレクションはウェアラブルだとはいいません、ただ他とは違うと言えるでしょう。クレージーであり楽しむことが出来る。それが私のコレクションのキーワードです。
全ての人の為にデザインをしたいとは思っていません。なぜなら私にとってそれは単純でつまらない洋服をデザインすることを意味するのです。
私のコレクションは女性としての自信に充ち溢れている人の為のコレクションです。そして彼女たちは私の作品を楽しんでくれています。私もまた彼女たちの為にデザインしたいと思っています。
―あなたにとって“ロンドン”とはなんですか、またあなたのクリエイションにどのような影響を与えていますか
ロンドンという街、全てのものが私に閃きを与えてくれます。毎日の生活、そして全ての場所が。私は図書館でリサーチするということだけでなく美術館や博物館それにロンドンで行われるたくさんのイベントなど屋外からもインスパイアされます。特にロンドンバスが大好きです。バスの中で作業するのにもなれました。スケッチやソーイングなど全てのプロセスがバスの中で行われています。
―他とは違うあなた独自のスタイルとはどういうものですか
私はまだ大学を卒業したばかりで自分自身の個性、アイデンティティーを探している途中なのです。自分の進路を急いで決めたくはありません。
近い将来MA(大学院)で学ぶつもりです。だからまだ自分自身を見つめる時間、ファッションの世界で経験を積む時間はあります。
しかし私のコレクションは特別です。ただまだ言葉で表現することは出来ませんがそのうちわかるでしょう。
―デザインアイコンはいますか
人々はよくあなたのアイコンは誰ですかと聞きますが特別な人はいません。それぞれのコレクションに私だけの想像上のミューズがいます。しかしそれらは大抵作り話のようなミステリアスなものです。
2010S/Sは人魚から着想を得て2010A/Wは吸血鬼から着想を得ています。
―あなたの顧客はどのような方々ですか
自信に充ち溢れた女性です
―クリエイションをする際常に同じ過程を経ているのですか
全ての工程は自分自身で行っています。ドローイングからパターン、ソーイングまで。インターンさえいません。でもそれを全て自分でこなすことにより成長しているのです。またそこから学ぶことも多いのです。どのようにファブリックと向き合うか、どのように違った種類のマテリアルを縫うかなど。それら全ては自分にとって良いことです。
ちょっと変に聞こえるかもしれませんが常に次のコレクションの夢を見ます。コレクションのムードやカラー、デザインさえも。これが私のインスピレーション源の一つでもあります。
―なぜデザイナーになりたいと思ったのでしょうか
まず最初にロンドンという街自体が挙げられます。そしてもう一つは自分自身と共に何かを作り上げたいという人々がいたということです。
―あなたの作品に強く影響を及ぼしたデザイナーやアーティストはいますか
他のデザイナー達の作品を見るのは大好きです、しかし作品にそれが影響されるわけではありません。
―今後数年間どのようにブランドを成長させていこうと考えていますか
ロンドンだけでなく海外も含めリアルなファッションのフィールドで経験を積むこと。そしてデザイナーとして成長し自分自身のアイデンティティを見つけ出すこと。私は近い将来MAで勉強したいと思っています。そしてその後に”Ara Jo”として正式にブランドデビューするつもりです。