Interview

Etw.Vonneguet 1/2


ファッションとCGの新しい関係性を追求してきた前身のブランド-ishを経て自身のブランドEtw.Vonneguet を209年に立ちあげ2010S/S原宿でのゲリラショーでデビュー。服を媒体とした人と社会への「意味的デザイン活動」を理念とするEtw.Vonneguet代表兼デザイナーのOLGA氏に話を聞いた。

―プロフィールを教えてください

海外の大学でファッションとテクノロジーに関する研究をしていてCADのエッセイを書いていたのでデジタルファッションという会社に声を掛けてもらいそこでish.というCGのコレクションを作っていました。その後2009年にEtw.Vonneguet(エトヴァス•ボネゲ)を立ち上げました。

―ファッションとテクノロジーに関する学科とは実際どんなことをやるのですか

リサーチしてインタビューしてエッセイ書いて服作ってという凄くシンプルな学科です。大学院だったので自分のやりたいことが出来ましたし。

―どうファッションとテクノロジーが結び付いているんですか

服作るのって手でパターン引くのもそうですけど工場用にする時に絶対CADを使うので服を作り上げるまでに関わるデジタルツールがどれだけ生産に影響をするのかというのに興味があったんです。CAD以外にもイラストレーターやフォトショップなどデジタルツールはありますよね。それでプリントを作ったりTシャツを作ったり。それも使うツールとしてコレクションの中で成り立っているんですよね。だけど服作るのにもっと面白いツールが無いのかなと思っていてそれが3Dモデリングだったんです。

―それでCGのブランドを立ち上げて

CGだけのブランドではないですがその時は凄く面白いなって思っていて。でもCGで作るのにも限界があるんですよね。

―具体的にどんな部分ですか

ディテールがそんなにしっかり表現出来ないんですよね。

―逆にプラスの部分はどこだったんですか

真新しい印象を与えられるという部分ですね。もう少し時代が追いついてきてPCの処理速度が速くなっていきCGのシュミレーションやレンダリング(より高位の記述を演算することにより、画像の画素を生成すること:Wikipedia)とかの速度が速くなったりすればもっと低コストでCGを作ってそれを先行的に人に発表することが出来るようになります。

―今の段階ではCGを使ったらお金も時間も余計にかかるということなんでしょうか

例えばJapan Fashion Weekで一本コレクションをやるとしたら何百万もかかりますよね。でもそれをやるか同じお金を掛けて面白いことをやるかのどっちをとるかと言ったら私はその後展示会やればいいわけだからCG使った方が面白いのかなって思いますね。そういった面では新しいことをやることに投資するのは良いかもしれない。でも私もまだ探り途中なんです。

―これからもCGを使って洋服を提案することはありますか

悩んでいるんですけどXANADUの本橋さんに「面白いかな―」って相談したんですね。やっぱりバイヤーが買ってくれないとしょうがないですよね。それを見て「欲しい」と思うって言うのが凄く重要だし。

―以前やっていたish.は自分のブランドだけど自分のブランドじゃない部分もあったんですか

感覚的ですが。窮屈な感じはあったと思います。

―CG以外でも実際に洋服も作られていたんですか

作っていました。

―それはデジタルから派生する洋服ですか

そうです。

―今でもデジタルでデザインして洋服を作るという形ですか

違います。CGのプロジェクトは長期のプロジェクトだと思っているんです。今日明日どうにかなるというものでもないしだからそことは並行しています。

―まだCGの可能性も探っているんですか

全然探っています。

―それは機械が無くても出来るんですか

機械がないと出来ないですね。なのでデジタルファッションとコラボしてCGを使いそこから衣装デザインなどもやっていました。それが-ishの時の活動内容です。ボネゲになってからはファーストコレクションを昨年やったんです。原宿の街をみんなで闊歩したんです。

―それはいつやったんですか

昨年の10月24日です。

―告知はしたんですか

少しだけですね。ゲリラなのであまり告知しても意味は無いのかなって。

―ブランドを立ち上げたのはいつですか

2009年の9月ですね。

―新しいブランドを始めたのはなぜですか。CGでの活動に限界を感じたからですか

限界は感じてないです。単純に名前を変えたかったんです。本当はish.でも良かったんですけどish.の商標を取ろうとしたらもう既に使われていたんです。

―Etw.Vonneguetというブランド名には何か意味があるのですか

悩んでいて「あ、vonneguetだ」って最終的には音で決めました。

―Vonneguetってどういう意味ですか

アナグラムなんです。ある言葉を組み替えるとこの綴りになるんです。

―エトバスは意味があるんですか

ドイツ語で「something」という意味です。

―ボネゲという言葉自体には意味はないのですか

ありますよ。そのアナグラムした言葉が活動理念なので。活動理念は意味的デザイン活動です。

―-ishはどのくらいの期間やっていたんですか

大学院を卒業する前からその名前で始めて昨年の9月位までやっていました。今もish.は一応続いているんです。iphoneアプリを出していてそこで作品を見せています。インターフェースのデザインは私が手掛けていて。

―(iphoneアプリを見ると)CGなのにちゃんと服出来ているんですね

でも良く見ると違うんですよ。そこが自分的には気に入らないんです。

―iphoneのサイズで見るだけなら完全なる服ですよね

けど気に入らないんです。

―無限の可能性を感じますね

そこがポイントなんですよね。

―でも服より人間を表現する方が難しいですよね

そうなんです。だからディテールは描いてないんです。目とかまつ毛とか。

―その印象でも色々変わってきちゃうし動きも難しいですよね

だからのっぺらぼうで全然良いんです。セカンドライフに参入するかという話もあったんです。そこで売られているものは基本CGで作られているものだから。DRESS(プレイステーション3用オンライン配信ファッションエンターテインメントマガジン)でもやろうかという話があったんですけどそっちを始めるとCGの世界だけでしか出来ないような気がしたんです。実際の洋服ってアバターだけじゃなくてみんな着ますよね。だからちゃんと服を流通させたいという気持ちがあったので。

続く

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