“たくさんの人に「東京っぽい」って言われたんです。そんなに東京っぽいと言うなら「東京」をテーマにやってみようかなって”
―グラフィックは全部自部達でやられているんですよね
やっていたんですが今回は別の作家さんを使っています。
―それはなぜでしょうか
自分の過去に焦点を当てていた高校時代に一旦区切りを付けたので過去に思いを馳せるのではなくて今これからとなった時に今の自分達の世代で頑張っている人とやりたいということで同級生のイラストレーターにお願いしました。
―毎回プリントが印象的ですね
そうですね、プリント物のアイテムは次も多いですね。今までは裏地だったんですが次は裏地ではなくて表面にも使っています。
―裏から表にプリントが移ったわけですが何か心境の変化でもあったのですか
都会の写真を撮るとネオンがぼやけて見える、それも一つの理由なんですけど、前回僕が作ったプリントを見ていただくとアウトラインが強いんですよ。でも今回やっていただいた作家さんはアウトラインが全くない絵なのでそれを黒い服に載せたときに都会のネオンとかを連想させてくれればいいなって思ったんです。
今まではコンセプトが思いを馳せるとか秘めるとか心の内側の感情が強かったんですよ。前回は胸元を裂くとポケットが出てきてその中に柄が入ってるということをするくらいインなことをやっていたので今回はアウトにしようと。
―今までは黒と白のイメージが強かったですよね
次のテーマがずばり「東京」なんですけど、東京の空の色とかミッドナイトブルーということで色も染めだしたんです。そこからリンクするように東京をポンというか都会をポンというかその時に真っ黒と真白だけでは今の東京にはモード色が強すぎてしまうと考えたんですね。
―モード色が強くなることは嫌だったんですか
モード系と言われるのが凄く嫌だったんですよ。今も嫌なんですけど最近はあまり言われなくなってきているので。
―ではどこを目指しているのでしょうか
ブランドで言うとジルサンダー、ラフシモンズではなくジルサンダーによるジルサンダーですね。そこに東京ぽさとか今の空気を入れていってる感じですね。削ぎ落とすことによりプラスのデザインにすることを目指しているんですけどなかなか難しいです。
―デザインをする時最初は絵から始めるんですか
最初は文章から始めるんです。そこから連想して絵を描いてパターンを書いてモデルを決めてという形です。
―以前の会社ではパタンナーだったんですか
デザイナーです。パターンは今まで全部やっていたんですが今回は同級生でパターンをやっている子がいてその子に何型かお願いしています。
―デザインの部分ではどこに重点を置いていますか
バランスですね。今一番自分達が着たいバランスとこれから自分達が着るであろうバランスで少しずつ変わってきていますね。タイトばかりでもないし、ワイドはワイドですけどサイズ感は割とゆったりしてきている気がします。
―自分達の体型に合わせることで逆に一般とずれが生じてくる危険性もあると思うのですが
どうなんですかね。今まで着たいけど入らないという人が凄い多かったんですね。そういう人たちには凄い喜ばれているのと、今はジャケットが3サイズあるんですけど以前自分達の気分に合わせて(1サイズだった時に)サイズ感を上げたんですよ。そうしたら今までのきつきつのサイズ感が好きだったという人達は「じゃー今回はいいや」 みたいなこともあったんです。せっかくデザインが気に入ってくれるならサイズだけの問題なので「じゃーサイズも作ろう」と作ったんですけど逆にサイズを作るなという声もあるんですね。
―毎回のテーマはどうやって決めているんですか
今回に関しては一番表に出てきた1年が学生でやっていて「卒業」を押し出していたので「どうするの?どうするの?」って凄い聞かれて正直どうすればいいか分からなくてどうしようかなと思っていたんです。そんな矢先に前回の展示会でたくさんの人に「東京っぽい」って言われたんです。そんなに東京っぽいと言うなら「東京」をテーマにやってみようかなって。『東京』で文章を書いてその文章をイラストを描いてくれた方に渡して「何も規制しないけど東京の青は入れて欲しい」って頼んで描いてもらいました。
―自身の考える東京の青とはどういったものですか
夜の真っ暗にならないくすんだ独特の色ですね。
―今まではテーマを通年でやっていますが10A/Wも「東京」になるのでしょうか
そこまではまだ決まってないですね。この前たまたま読んだ雑誌にSomartaの廣川さんが「1シーズンでひとつのことをやるには時間が無さすぎる」みたいなことを書いていてそれは確かにやってみてそうで、かといって無理やりのばすのもどうかと思う。だからこれが終わってから自分がどう思うかですね。今は漠然と外国のモデルで撮りたいというのがあるのでそれが出来る何かテーマを持ってくるかもしれないですし、まだわからないです。
―ショーをやりたい気持ちはありますか
最近ちょっとずつ出てきましたね。うちは展示会に結構お金かかってるんですよ。タイトにすればショーを出来なくもないくらいのお金なんです。それでも「今はショーをやらない方が良い」って様々な方面から言われるんです。ただやっぱり自分はショーが好きなので「ショーをしたい」とはいつも言ってますね。
―ショーのイメージはあるんですか
ありますね。イメージもあるんですけど勢い次第ですね。出来るからやるのではなくどうせやるなら自分のやりたいことをやりたいので。
―前回Luxe by Plug Inで出展されていましたが反応はどうでしたか
とにかくプレスが多かったですね。
―それはすぐ隣にJFWのプレスルームがあったのも関係してると思います。僕等もそうですが「とりあえず行こうか」みたいなノリで行きましたし
普段会わないバイヤーさんとは会ったんですけど・・・・。
―インスピレーション源というのはどういうところからなんですか
それはありがちなんですけど自分が街に出てみたり、買い物に行って自分が着てみて、でも買うにいたらない物っていっぱいあるじゃないですか。「何でこれを 買うにいたらなかったんだろう」とかそういう物を見た上での紙の上での出来事になっていますね。だから何か特別な物を見てとかはないですね。強いて言えば 映画なんだろうとは思いますけど。「東京」と言って服に落としてはいるんですけどそこに固執して突き詰めたりとかはないですね。
続く