Interview

Yoshihiko Teshima 前篇

負のコンプレックスを補う為の自分のプロデュースからファッションに興味を持ちだしたと語るデザイナーYoshihiko Teshima現役美大生としてそして一人のデザイナーとして表現を続ける彼に話を聞いた。

-簡単なバックグラウンドを教えてください

杉野服飾大学で4年間洋服を学びました。モードクリエイションコースというオートクチュールぽいことをするとこでコンセプトを作ってイメージボード、ブックを作り、パターンから縫製まで服を作って最後にプレゼンして終わりみたいのを年に4回ほど作っていました。その後一応就職を考えていたんですけど行きたかった会社に落ちてしまったのでこれからどうしようかと思ったんですが美術大学は服飾大学に行く前から憧れを持っていたので今しかないと思って武蔵野美術大学に進学することにしました。現在は工芸工業デザイン学科のテキスタイル専攻3年生で(そこでは)布で何でもいいから自分を表現しろみたいな感じです。

-服飾大学を卒業後美術大学に進学をしようと思ったのはなぜですか

美術大学という芸術に特化した大学に行った理由は2つあります。1つ目は仲間を増やすということです。親しみのあるものを作る為には親しい仲間で作るというのが一番だと思います。外に受注したりすることは縁を作り出すことの1つだと思いますが、親しみがきっかけにくるかというと否であると思います。もう一つは今の情報化社会において既製服を上手く捉えることは案外容易なことだと思います、目的を上手く狙っていく。つまりはコンセプトという仮説をたて、決まりきった正解に向かって進んでいくというような数学的な証明をしていくということです。このような王道的なファッションを学んできたことは確かに重要なことだと思いますが、もっと既成の概念とは別のところで自問自答で謙虚に虚像のファッションに反発したかった、だから芸術に特化した美大に行くことに決めました。今までやってきたファッションを否定しているのではないが行きつく先にコンセプトはないというような未知の世界に飛び込むことで、多角的視点をもっと手に入れたいと思ったからでもあります。

武蔵野美術大学を選んだのはマンモス校だから色んな科があってファインアートだったり映像だったり、空間演出など多方面で知り合いが出来るから(将来的 に)仕事していくのが楽かなと思って入ったのと、ファッションに関して言うとテキスタイルは多摩美は企業的なデザインみたいな感じで、武蔵美は表現者というか自分を布で表現するみたいな感じがあって、4年間前の学校で流行を意識した服作りしか学んでないから自分しか作れない物というのがまだ自分でもわかってなくてそれをもっと明確に自分で確かめる為にこのコースにしました。

-もっと職人的ことがしたかったということですか

職人とはまた違うんです。(自分のイメージする)職人とは繰り返し同じことをやって正確さが要求されるけど僕自身でしか生み出せない物を考える時間と手を動かすことがしたかったんです。

-なぜ(ファッション科ではなく)テキスタイル科を専攻したのですか

ファッションとしての自分の中の決まりがあってパターンがしっかりしてたり縫製がしっかりしてたり基本的なことをしっかりやってはじめてファッションになると思うんです。服ではなくファッションだから(空間演出の方は)簡単にファッションと言ってる気がして。一応洋服としての決まりがあるからファッションを学ぶよりもう少し素材の方を突き詰めたかったんです。洋服は自分で作れるので素材で表現の幅を広げたいとも思ったので。

-美大にいって自分の作品は変わりましたか

洋服の枠から離れたというか自分の基準を考え直している時期だと思います。変わったとは思わないけど変わりそうではありますね。

-自身は学生ですが学生のデザイナーとして評価してもらいたいのですかそれとも一人のデザイナーとして評価してもらいたいのですか

自分は学生と思ってやっているわけではないので一人のデザイナーとして評価されたいです。

-ブランドの始まりについて教えてください

最初は前の学校で物を作っても披露する場所が無くて、服を作ってはCandyの伊藤に服を見せていました。彼がCandyで働き出してから「見せる場所が無くて困ってる」と言ったら「(Candyで)展示して見る?」って言われてそれが始まりでした。

-それがいつくらいのことですか

2年位前ですね。

-売る物としてお店で洋服を扱ったのはいつですか

その展示をしてもらってから2,3ヵ月後です。でもそこからしばらくはTシャツだけの展開でした。

-ファッションに興味を持ったきっかけはなんですか

反発であると思います。不細工だし、ちびだしという負のコンプレックスを補う為の自分のプロデュースから興味を持つようになりました。そして自然に服を作るようになっていました。

-デザイナーを志したきっかけについて教えてください

今はまだ(デザイナーになりたいかどうか)わからなくて、安易なことをいうと同年代で集まってSoma desginのようにチームで何かやりたいというのがあります。自分は物を作るのは好きだけど喋るのが苦手で作るしか出来ないので。

-Y.Teshimaのブランドコンセプトについて教えてください

洋服としての機能と素材使いなどで美しさが兼ね備えられているというのは絶対的な部分であり、ある一定の服の概念の範囲からは外れすぎない遊び心を服に落とし込む。そして良い服プラスαの遊び心によって生まれるコミュニケーションを大切にし、自分らしさを物体化したもの、同時に美しくも違和感を放つビジョン、不気味さの共存など、一見ウイークポイントとなる物を補う為のツールとしてプラスαのユーモアで魅せるファッションでもあります。楽しい=playを根源的、生理的感覚に提案します。

-やりたいのはメンズですかそれともレディースですか

女性物です。洋服だけを作っていた時は形を作るのが好きだったので凄いタイトな物を作ったり、女性の体の方がシェイプされてるところはシェイプされてるし、出ているところは出ていて面白いので女性物ばかりを作っていました。テキスタイルを学んでからは平面で見せたり、柄を生かすということを考えると男性でも見せれるのかなと思います。前は引き出しが無かったから人と違ったものを作るというときは形で見せるしかなかったんですけど。

-手作りということにこだわりがあるんですか

売るということが目的じゃないので。評価されるのがわかるのは売れるということなんですけど気持ちが伝わる服を作らなきゃ駄目だと思っているので今は手作りでやっています。

-今の作品の傾向としては最初にプリントを考えてから形作るという感じですか

そうですね。作りたい形というのもでることがあるんですけどそれに時間を割くよりも(今は)素材を触ってることが多いので自然とアイデアが浮かんできてそれをやってみようという感じですね。美大に行って表現の幅が広がったんだからもっと面白いことをやんなきゃというのがあって、今はアイデアを溜めているところです。

-Y.Teshimaの特徴であるコラージュやプリントについて教えてください

おしつけがましくなく、自分らしくといった部分を出す為のコラージュ。
布や人体、生き物、立体の上に置かれた線や点、一度立体と上の柄となった物を平面で構成し、手書きの平面で描いた柄とあわせてコラージュすることで平面的であるが、多視点の構図を導入して遠い物同士の連結でオプティカル効果を出しました。身近でよく見ているものを寄せ集めて作品にすることで現実感や、確かさをプラスでき、需要者とのコミュニケーションが取りやすいと思ったからです。また手書きで柄を組み合わせたり、シルクスクリーンで1枚1枚手作業で行うことにより、デジタル化の一過性ではなく一個性の魅力を作り出しています。

-よく使用する素材は何ですか

作りたい物に対してそこから素材が自動的に決まってきます。だから作りたい物によって素材は変わってきます。

-イメージソースは何ですか

前の大学では自分よがりの服を作っていましたがそれは単なるおしつけでしかないんじゃないかと考えるようになりました。それは勿論自分勝手なコミュニケー ションだし、俯瞰した視点で見た時、ファッションにはどうしても制約があると思います。その制約とは今の売れる売れないの物差しではなく、もっと純粋的な制約だと思います。自然と出来た物が、無理やりでなく人に受け入れられる。媒体は人間であり、普段の日常の切り取り。手が勝手に動く。その流れが純粋な制約だと思います。だから、僕が感覚的器官全てで感じたものの全てがイメージソースだと思います。

続く

2 Responses to “Yoshihiko Teshima 前篇”

  1. [...] Photo:Takahito Sasaki →Yoshihiko Teshima Interview 1/2 →Yoshihiko Teshima Interview 2/2     渋谷 / GALLERY FAKE Opening Party » [...]

  2. [...] FAKE / FAKE NIGHT Date:2010.07.31 / Name:手嶌 嘉彦 / Occupation:Yoshihiko Teshima [...]